最新記事

W杯

中国CCTVが日本ポーランド戦を大きく報道―ネットも炎上

2018年6月30日(土)21時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

W杯ロシア大会 日本対ポーランド GK川島は何度もファインセーブを見せた(6月28日) Sergio Perez-REUTERS

中国中央テレビ局CCTVはボール回しの画面に焦点を当てて日本ポーランド戦を大きく報道した。ネットにも賛否両論のコメントが溢れている。取材から中国の絶望的なサッカー事情と日本への羨望も見えてきた。

CCTVが「ボール回し」をクローズアップ

(まずお断りしなければならないが、筆者はサッカー観戦は好きだが、専門的な知識は全くないので、それゆえの不適切表現があるかもしれない。もしあったら、何卒お許しいただきたい。中国における社会現象としての観察をご紹介するだけである。)

6月29日のお昼のニュースで、中央テレビ局CCTVはFIFAワールドカップに関して報道した。ほとんどの時間が「日本×ポーランド」戦に割かれたことに、まず驚いた。

おまけに延々と最後の10分ほどの「ボール回し」にのみ焦点を当て、終了の笛が鳴った後、日本の選手とポーランド選手が「笑いながら」肩を組んで何かを話している顔をクローズアップしているではないか。この映像ばかりをかなりの時間を割いて流し続ければ、視聴者にはCCTVが何を言いたいかは分かる。

29日の夕方の30分間の全国ニュースでも、なんとまた日本ポーランド戦のあの「ボール回し」を報道したではないか。マティス米国防長官の訪中とか訪韓とかのニュースの後にである。この力の入れようは何なのだろう。

こうなったら徹底して見てみようと30日のニュースも気を付けていたら、なんとお昼のニュースで、今度は特集まで組んでいる。今度は「日本のボール回しに試合会場ではブーイングが」とか「途中で席を立ち帰ってしまう人も出たくらいだ」と、事実ではあっても、やはりそこに焦点を絞っている。

そこで、ハッとして、中国大陸のネットを見てみた。

批判に溢れていた中国のネット空間

検索してみて、さらに驚いた。

日本(中にはポーランド)の戦い方に関する批判に満ちているではないか。しかもコメントの何と多いこと!炎上に近い状態だ。

こんなに関心があるのだろうか。批判コメントから、いくつかを拾ってみよう。

●今夜のポーランド日本戦における日本の消極的な試合姿勢は、FIFAの処罰を受けるべきではないのか?

●FIFAは、たとえば5分か10分以上、戦おうとしない時間が続けば、出場停止にするくらいの罰則を設けるべきだ。

●サッカーファンをバカにしている!試合を見るために時間とお金を使っているんだ。サッカーは選手のためだけのものではない。

●韓国を見ろよ!敗退は分かっていても、あの強豪ドイツを破った。この根性にこそ、われわれはカネと時間を注ぐ価値がある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

植田日銀総裁が官邸入り、岸田首相と意見交換=報道

ビジネス

独輸出、3月は予想上回る前月比+0.9% 鉱工業受

ビジネス

任天堂、今期中にスイッチ後継機種を発表へ 営業益は

ビジネス

日本経済強くして円高方向へ是正へ、150円超の円安
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 7

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中