最新記事

働き方

高齢化ニッポンを支えるフリーランスという働き方

2018年3月9日(金)16時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

政府は正社員の副業を推奨する方針だが beer5020/iStock.

<人生100年時代を迎えて、定年後も働き続けられるフリーランスへの注目が高まっている。しかし日本では、フリーランスとしてのスキルに繋がる副業の実施率がかなり低い>

会社などの組織に属さず、自分のスキルを売りにして生計を立てるフリーランス。インターネットの普及により、個人でも仕事の受注が容易になっていることから、こうした働き方は一般的になってきている。

フリーランスは、労働統計でいう「雇人のいない業主」に該当する。ISSP(国際比較調査)が2015年に実施した労働に関する調査によると、日本の就業者でこのカテゴリーに含まれるのは6.3%、およそ16人に1人だ。数値が分かる37カ国を高い順に並べると、<図1>のようになる。

maita180309-chart01.jpg

首位はインドで、働く人の3人に1人がフリーランスだ。現地に行ったことがある人なら、リキシャの個人運転手を想い起こすだろう。発展途上国が上位を占めるが、個人農園の経営者などが多いと見られる。日本の6.3%は、37カ国の平均値(9.5%)より低い。

国内の産業別のフリーランス率を出すと、農業(39.4%)、漁業(31.2%)、学術研究・専門技術サービス(15.5%)、建設業(12.7%)で高い(2015年、『国勢調査』)。フリーの芸術家、文筆家、コンサルタントなどは3番目の学術研究・専門技術サービスに含まれる。

年齢別にみると、フリーランスの割合は高齢層で高く、65歳以上は23.2%、75歳以上は36.9%、85歳以上では41.1%にもなる。働き方の内訳をみると、生産年齢層では雇用労働が大半だが、高齢層ではフリーランスの比率が高い<図2>。

maita180309-chart02.jpg

人生100年の時代、定年後を引退期として過ごすのは経済的にも心理的にも不可能だ。働き続ける高齢者は年々増えているが、その多くがフリーランスであることが分かる。組織を離れた後は自分で稼ぐ。分かりやすい構図だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英外相、ウクライナ訪問 「必要な限り」支援継続を確

ビジネス

米国株式市場=上昇、FOMC消化中 決算・指標を材

ビジネス

NY外為市場=円上昇、一時153円台 前日には介入

ワールド

ロシア抜きのウクライナ和平協議、「意味ない」=ロ大
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中