コラム

中国「一帯一路」構想から日本が手を引くべき3つの理由

2018年06月30日(土)14時40分

パキスタンでは中国の支援によって、アラビア海と中国西部を陸路で結ぶグワダル港開発が進行。その結果、国際社会が進めるテロ封じ込めにまで支障を来している。実際、パキスタンはイスラム原理主義勢力タリバンよりも、中国が「分離独立主義者」と敵視する亡命ウイグル人に対する弾圧を強めているほどだ。

日本はこうした中国の反人道的行為に加担するのか、良識が問われている。日本は70年代から戦時賠償金の代わりに円借款を超低金利で提供し、中国の近代化に大きく貢献した。だが日本がいくら真摯に過去の反省を示しても、中国政府が扇動する反日の炎は消えなかった。機会さえあれば、「打倒小日本(ちんぴら日本をつぶせ)」という官製の反日ナショナリズムが再燃する。

一帯一路に協力し、日本が供与したハイテク技術が中国軍の空母や武器と化す――将来、日本の政治家や財界が後悔してももう間に合わない。

<本誌2018年7月3日号掲載>

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プロフィール

楊海英

(Yang Hai-ying)静岡大学教授。モンゴル名オーノス・チョクト(日本名は大野旭)。南モンゴル(中国内モンゴル自治州)出身。編著に『フロンティアと国際社会の中国文化大革命』など <筆者の過去記事一覧はこちら

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