最新記事

食品

長時間放置しても、炙っても溶けない中国のアイスクリーム...健康への悪影響は?

Ice Cream Brand Stirs Controversy Over Products That Don't Melt

2022年7月9日(土)16時06分
サマンサ・ベルリン
鍾薛高アイスクリーム

YouTube

<中国で「アイスクリーム界のエルメス」と呼ばれる高級アイスが、あまりにも溶けなさすぎるとして健康への悪影響を懸念する声が上がっている>

中国の高級アイスクリームブランドのアイスキャンディーが、「超高温にさらしてもぜんぜん溶けない」として物議を醸している。火であぶられても溶けないアイスキャンディーの動画が、インターネット上で急速に広まっているものだ。

■【動画】ライターの火でも、長時間放置でも溶けない中国のアイスクリーム

中国共産党機関紙人民日報系のタブロイド「環球時報」によれば、7月5日にソーシャルメディア上に出回った動画には、アイスキャンディーを下からライターの火であぶる様子が映っている。炎の温度は、約2200℃に達しているとみられる。

この動画を受けて消費者の間では、アイスが溶けないようにするために使われている添加物について、その安全性を懸念する声が多く上がった。

この「溶けないアイス」は、2018年に林盛が創業した高級アイスクリームブランド「鍾薛高(Chicecream)」(本社は上海)の製品だ。同社はインターネット上に複数の動画が投稿されたことを受けて、6日に声明を発表。自社の製品は、国の安全基準に従っていると説明し、警察の捜査に協力する意向を示した。

アジア・ニュース・ネットワークの報道によれば、鍾薛高は中国版ツイッターの「微博」に投稿した声明の中で、「焼いたり、乾燥させたり、温めたりしてアイスクリームの品質を評価するというのは、科学的ではないと考える」と述べた。

アイスクリーム界のエルメス

同社の声明は、動画に映っているソルト・ココナッツ味のアイスには乳固形分が40%含まれているとし、これは国の基準である「20%以上」を大幅に上回る値だと主張する。

ただ一部の消費者からは、このアイスにはさまざまな種類の乳成分が使用されている一方で、増粘剤としてカラギナンが使用されていることに懸念の声が上がっている。

科学専門誌「サイエンティフィック・アメリカン」によれば、カラギナンは食品業界で増粘剤として一般的に使用されており、何世紀も前から伝統的な料理に使われてきた。ブリテン諸島原産の紅藻類から抽出される多糖類だ。

鍾薛高のアイスは最も高いもので10ドル近くすることから、「アイスクリーム界のエルメス」と呼ばれることが多い。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

トムソン・ロイター、第1四半期は予想上回る増収 A

ワールド

韓国、在外公館のテロ警戒レベル引き上げ 北朝鮮が攻

ビジネス

香港GDP、第1四半期は+2.7% 金融引き締め長

ビジネス

豪2位の年金基金、発電用石炭投資を縮小へ ネットゼ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 10

    「みっともない!」 中東を訪問したプーチンとドイツ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中