最新記事

中国共産党

香港「一国二制度」の約束をさっさと反故にした、中国共産党の世界観

CHINA'S STRATEGIC MISTAKES

2020年7月15日(水)16時45分
ミンシン・ペイ(本誌コラムニスト、クレアモント・マッケンナ大学教授)

この考え方は、中国の香港戦略にも染み付いている。欧米諸国は中国の強引なやり方を猛批判しているが、そんなものはすぐに消えるはずだ。欧米企業は香港に莫大な既得権益を持つから、香港の混乱長期化に耐えられないはずだと踏んでいるのだ。だから一時的に大きなペナルティーを被ったとしても、中国共産党は自らの権力維持に必要な措置を取ることを躊躇しない。

そんな彼らにとって、ドナルド・トランプ米大統領が、中国との経済関係を「完全に断ち切ることも選択肢の1つだ」と言いだしたことは、衝撃的だった。アメリカが地政学的な目標を達成するために中国市場を見限るなどとは、中国のいかなる指導者も想像し得なかったことだからだ。

中国共産党は今、文化大革命以来の存続の危機に直面している。それでも香港への介入を見る限り、その自滅的なマインドセットは変わりそうにない。

©Project Syndicate

<本誌2020年7月21日号掲載>

【話題の記事】
・東京都、14日の新型コロナ新規感染143人 感染最少の5月23日以降累計3000人突破
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・新型コロナの起源は7年前の中国雲南省の銅山か、武漢研究所が保管
・インドネシア、地元TV局スタッフが殴打・刺殺され遺体放置 謎だらけの事件にメディア騒然


20200721issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年7月21日号(7月14日発売)は「台湾の力量」特集。コロナ対策で世界を驚かせ、中国の圧力に孤軍奮闘。外交・ITで存在感を増す台湾の実力と展望は? PLUS デジタル担当大臣オードリー・タンの真価。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独経済、今年ゼロ成長の見通し 製造業・建設業弱く=

ワールド

米、ファーウェイ向け半導体輸出許可取り消し インテ

ビジネス

米メタ、広告向け画像生成AIツールを拡充

ビジネス

トヨタの今期、2割の営業減益予想 成長領域などへの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    デモを強制排除した米名門コロンビア大学の無分別...…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    イギリスの不法入国者「ルワンダ強制移送計画」に非…

  • 10

    中国軍機がオーストラリア軍ヘリを妨害 豪国防相「…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中