最新記事

ファッション

世にも奇怪なKFCクロックスのコラボサンダルがバカ売れ

People Are Paying Over $250 For KFC Crocs That Smell Like Fried Chicken

2020年7月30日(木)20時00分
セレン・モリス

フライドチキンそっくりの飾りがついたクロックスサンダルに、人はなぜ250ドルも払うのか? KFC/CROCS

<ジョークとしか思えないフライドチキンの香りつきサンダルが即完売し高値で売買される理由>

7月28日に発売された、ケンタッキー・フライドチキン(KFC)とクロックスのコラボ商品であるチキンの香りつきサンダルは、発売から30分以内に完売した。既にネット上で4倍以上の価格で取引されている。

コラボ商品は28日の米東部時間午後12時に発売され、即完売した。価格は59.99ドルと平均的なクロックスサンダルよりもやや高めだが、ネット上での転売価格に比べれば、それでも割安に思える。

転売されているKFCクロックスの平均価格は1足あたり177ドル。オンライン市場「ストックX」ではなんと253ドルもの値がつけられているものもある。この記事の執筆時点で、ストックXでは全部で171足のKFCクロックスが売られており、その平均価格は元の価格の233.3%。最近売れたKFCクロックスには200ドルの値がついていた。フリマアプリ「ディポップ」上では1足150ドルから390ドルで売られているが、まだ1足も売れてはいないようだ。

ネットオークション大手のイーベイにも数十足が出品されている。いずれも出品価格は100ドル超で、中には240ドル以上の高値で落札されたものもあった。1足1000ドル超で転売しようとしている出品者までいるが、この価格での入札はまだない。

<参考記事>韓国、コロナショック下でなぜかレギンスが大ヒット 一方で「TPOをわきまえろ」と論争に
<参考記事>マスクが「必須のアクセサリー」になる時代、NYファッションショーにも登場

コリアブランド「スクート」に通じる魅力

発売後あっという間に完売し、その後何百ドルもの高値で売られていることから、ソーシャルメディア上では、自分用に欲しいと思っていた人々ではなく、ボットや転売業者が買い占めを行ったのだと不満の声が上がっている。

KFCサンダルは限定発売だったため、再販は行われない。KFCとクロックスは28日、商品の完売を受けて次のようなメッセージをツイッターに投稿した。「残念ながらKFC×クロックスのコラボサンダルは売り切れです。でも嬉しいニュースもあります。KFCでは引き続き、本物のチキンバーレルをお買い求めいただけます。本物は身に着けないようお願いします」

KFCとクロックスのコラボサンダルが最初に発表されたのは2月。ニューヨーク・ファッション・ウィークで、ソウル在住のアーティストのMLMA(Me Love Me a Lot)が厚底バージョンを披露した。その後、通常版の発売が決まった。

MLMAとKFCクロックスの厚底バージョンをフィーチャーしたイメージ動画


KFCクロックスには、両足に1つずつ、外見も香りも本物そっくりのフライドチキンのチャームがついている(もちろん食べられない)。ジョーク商品のように思えるかもしれないが、実際に何百ドルも払って手に入れたいと考えている人がいるのは確かだ。MLMAは雑誌「ペーパー」に対して、「クロックスとKFCのコラボレーションは、最先端のファッションだと思う」と語った。

「ほかとは違う、楽しくてクリエイティブなことをしているのだから。私からすると、(多国籍なコリアブランド)スクートと同じ美学がある。ルールも境界もない、できない事なんて何もない、という美学だ。楽しくて、ほかの誰も挑戦しないものは、急速に広まっていく」

【話題の記事】
・新型コロナウイルス、患者の耳から見つかる
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・がんを発症の4年前に発見する血液検査
・これは何? 巨大な黒い流体が流れる様子がとらえられる

20200804issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年8月4日号(7月28日発売)は「ルポ新宿歌舞伎町 『夜の街』のリアル」特集。コロナでやり玉に挙がるホストクラブは本当に「けしからん」存在なのか――(ルポ執筆:石戸 諭) PLUS 押谷教授独占インタビュー「全国民PCRが感染の制御に役立たない理由」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 

ビジネス

米地銀リパブリック・ファーストが公的管理下に、同業
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ」「ゲーム」「へのへのもへじ」

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 6

    走行中なのに運転手を殴打、バスは建物に衝突...衝撃…

  • 7

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 8

    ロシア黒海艦隊「最古の艦艇」がウクライナ軍による…

  • 9

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中