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高齢ドライバー問題は、日本の高度経済成長が生んだ!?

2018年7月31日(火)17時00分
印南敦史(作家、書評家)

それだけではない。一足先に車社会を実現してきた欧州先進諸国とは異なり、日本の地方都市交通では圧倒的に自動車が優遇されている。歩道が設置されていない狭い道路にも、かなりのスピードを出した自動車が侵入できるのだ。そのため道路内では「自動車―バイク―自転車―歩行者」という階層的序列ができあがり、その結果、歩行中の高齢者が交通弱者としてしわ寄せを受けることにもなる。

そのため日本全国で、免許自主返納へ向けてのさまざまな取り組みが行われている。また返納後についても、買い物や通院の際に利用できる「タクシー定期券」制度の導入を筆頭に、あらゆる取り組みが進められている。

そんななかで興味深いのは、所による「今後への提言」だ。高齢ドライバー激増時代を目前に控えた今、欧州の交通社会の状況も踏まえつつ、次の4点を提言しているのである。


 第一は、わが国に根強くはびこる自動車優先主義を改めることである。歩行者、自転車、公共交通機関、そして自動車は、交通参加者として対等であるという考え方を交通政策の根幹に据える必要がある。(中略)
 第二は、運転断念を強いられた人たちへのさまざまなケアである。ドライバー本人に対して、老いを受け入れる方向で優しく助言指導できる専門家を育成していく必要がある。(中略)運転は、高齢者にとって自己の尊厳に関わることであり、自立の象徴でもある。メンタルケアを丁寧に行う必要がある。(中略)
 第三は、自動運転システムへの期待である。予想を上回るスピードで技術開発が進んでおり大いに希望が持てる。安全性、セキュリティー面での技術が、一定水準を超えるまでは市場導入は認めないことは言うまでもないが、その後も、七十歳(あるいは六十五歳)以上のドライバーに対して、優先的に自動運転車を低価格で販売すること、自動運転によるマイカー走行は、地方エリアに限定し、公共交通機関が充実している都市部では認めないことを要望したい。理由は、それによって、地方創生に結び付くからである。
 第四は、研究方法の見直しである。「社会問題としての高齢ドライバー」といった超高齢化社会における大きな社会的課題に取り組むためには、アクションリサーチをこの分野の中核的方法論に据える必要がある。これは、直面する問題の解決へ向けて、研究者と実務家が一体となって取り組む実践活動を意味する。(後略)(113〜117ページより)

なお、高齢ドライバー問題というと、どうしても高齢者の無謀な運転や事故に焦点が当たりがちだ。もちろんそれも重要な問題ではあるのだが、一方、とても重要なポイントではないかと感じたのが、本書の第2部「認知機能と身体能力からみる高齢ドライバー」内の第2章「身体的問題と自動運転技術」での伊藤による表記だ。

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