最新記事

日本社会

最高気温35度超でも「教室にエアコン不要」と言う大人へ 「夏休みでセーフ」は全くない

2018年7月25日(水)06時00分
親野 智可等(教育評論家)※東洋経済オンラインより転載

「昔は学校にエアコンなどないのが当たり前だった。今の子は今の子は軟弱だ」という意見は根強くあります。そこで、気象庁の「過去の気象データ検索」で調べてみました。

50年間で2.5度も上昇した平均温度

たとえば奈良県奈良市の1967年(50年前)の7月の「一日の最高気温」の平均は、30.5度でした。
そして、1987年(30年前・今の子育て世代が子どもだった頃)の7月の「一日の最高気温」の平均は、31.0度でした。
ところが昨年、2017年の7月の「一日の最高気温」の平均は33.0度です。

つまり、50年間で2.5度も上昇したのです。また、この30年間だけでも2.0度の上昇です。平均が2.5度も上昇したというのはすごいことです。しかも、上昇の度合いも上がっています。

また、たとえば愛媛県松山市の1967年(50年前)の7月の「一日の最高気温」の平均は、30.7度でした。
1987年(30年前)の7月の「一日の最高気温」の平均は、30.7度で、これは1967年と変わりがありません。
ところが昨年、2017年の7月の「一日の最高気温」の平均は32.6度です。

つまり、この30年間だけで1.9度も上昇したのです。

ついでに、7月の「一日の最高気温」の平均が30年間でどのように変化したか、気象庁のデータより、あといくつかアトランダムに調べてみたら、次のような結果が出ました。


福岡市は3.0度上昇

静岡市は1.1度上昇

長野市は0.5度上昇

横浜市は1.7度上昇

高知市は2.2度上昇

秋田市は2.3度上昇

札幌市は2.9度上昇

那覇市は1.6度上昇

ということで、もう十分ですね。このように、日本の気温は確実に上昇しています。ですから、「昔は学校にエアコンなどないのが当たり前だった。今の子は軟弱だ」などという意見は成り立たないのです。

ところで、なぜ主に奈良県と愛媛県を例に取ったかというと、この両県は最高気温が高いにもかかわらずエアコン設置率が低いという最悪な県だからです。それは、名古屋大学の内田良准教授の下記のリポートによって明らかです。

小中のエアコン設置 いまだ半数 暑くても設置率1割未満の自治体も 莫大な予算が課題(Yahoo!ニュース)※リポートの5番目のグラフに出ています。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:コロナの次は熱波、比で再びオンライン授業

ワールド

アングル:五輪前に取り締まり強化、人であふれかえる

ビジネス

訂正-米金利先物、9月利下げ確率約78%に上昇 雇

ワールド

ゴア元副大統領や女優ミシェル・ヨー氏ら受賞、米大統
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    元ファーストレディの「知っている人」発言...メーガ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中