チョコ原料の甘くない現実 フェアトレード制度はカカオ農家を救えるか?
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独立認証団体は、カカオ豆を公正な方法で生産している農家に対して認証を与えている。その豆を調達したチョコレート会社は、製品に認証マークをつけて、倫理的に生産された商品であることを消費者にアピールできる。
だが、生産者の生活賃金改善を認証モデルの中心に据えるフェアトレードは、利用企業の拡大に苦戦している。UTZの市場シェアが2013年の48%から2016年は60%に拡大したのに対し、フェアトレードは、シェア12%から15%への増加にとどまった。
「フェアトレードの基準は、価格急騰の際にはうまく機能する。だが、ビジネス合理性が低いと考える企業も多い」と、英シンクタンク、オーバーシーズ・デベロップメント研究所のアートリ・クリシャン氏は語る。
フェアトレードは、カカオ豆1トンあたり2000ドルの最低価格と、200ドルの固定プレミアムをそれぞれ義務付けている。
世界2大生産地のコートジボワールとガーナでも、最低価格が設定されているが、世界市場を考慮して毎年調整されている。昨年の価格崩壊を受け、コートジボワールは最低価格を3分の1以上引き下げ、1トン1290ドルとした。
フェアトレードは、最低価格と固定プレミアムの設定により、世界的な価格急落に対する極めて重要なセーフティネットを提供し、農場に長期投資を行うために必要な安定性を農家が確保できると胸を張る。
だがそのモデルは、2020年までに野心的な自己目標達成を目論むチョコレート会社にとって、魅力に欠けるようだと専門家は指摘する。
「(目標期限は)すぐそこに迫っている。チョコレート会社は、認証カカオの調達を大幅に増やさなくてはならない」と、前出のストヤン氏は言う。「だがフェアトレード認証を通じたカカオ豆の販売拡大は、難航している」
フェアトレード認証を受けた農家が生産したカカオ豆は、2016年は約30万トンと、世界生産の6%程度だった。だがフェアトレードのデータによると、同認証のラベルを付けて販売された量は、その半分でしかない。
余った認証カカオ豆は、より安い一般市場での売却を余儀なくされることが多い。このため、ロイターの試算では、フェアトレードの生産者が受け取る認証カカオ豆1トンあたりのプレミアムは、1トンあたり平均94ドルになる。
なかには、複数の認証を取得している生産者もあり、余剰分はUTZやレインフォレスト・アライアンスの認証分として販売することもある。