最新記事

医学

運動は週末だけでOK、健康効果は毎日の運動と遜色なし

2017年2月1日(水)12時09分
ジェシカ・ファーガー(ヘルス担当)

IMAGEZOO/GETTY IMAGES

<英研究チームの研究で、平日に小まめに体を動かせない人もまとめて運動することで病気や死のリスクを減らせることがわかった>

 週末になると夜明けとともに起き出し、マウンテンバイクで飛び出していく人。週に1度は夜のプールでマイケル・フェルプス選手も音を上げそうなトレーニングに励む人。エアロバイクのクラスを2つ取り、日曜日は終日汗を流している人──。

 こうした「週末限定アスリート」たちは、1週間分の運動推奨量を1~2日間で消化する。平日も小まめにジムに通い、30分ずつトレッドミルの上を走る人々とは対照的だ。

 米国医師会報(JAMA)の内科専門誌のオンライン版でこのほど発表された論文によれば、たとえ週末だけでも運動をすることには意味がありそうだ。これはイギリスの研究チームが6万4000人近い成人を対象にした研究で、運動が心臓病や癌を予防する効果は、週末にまとめてやった場合も小分けにやった場合も変わらないという。

「週末だけに限定した運動習慣であっても効果はあると考えられる。かなりの激しい運動を実際にこなしているからだ。激しい運動により健康的な体になり、病気や死のリスクも減少する」と、論文の筆頭著者である英ラフバラ大学のゲーリー・オドノバンは語る。

 研究チームが使ったのは、1994~2012年に英政府の世帯調査に回答した40代以上の男女に関する情報だ。病歴や運動習慣に関するデータが含まれており、それを英保健省の死亡に関するデータと付き合わせた。

 その結果、週末アスリートの死亡リスクは運動をしない人に比べて30%低いことが分かった。心臓血管系の病気による死亡リスクに限定すれば40%、癌関連死のリスクも18%低かったという。また週末アスリートの死亡率は、短時間の運動を週に3回以上行っていると答えた人とほぼ同じだった。

 アメリカ心臓病協会や米疾病対策センター(CDC)は、週に150分の運動を推奨している。これは早歩きといった比較的軽い運動を1日約20分やるのに相当する(1日の運動量は1時間を超えないほうがいいと指摘する専門家も多い)。

「150分の比較的軽い運動を一度にまとめて行う人は週末アスリートと呼んで差し支えない」と、オドノバンは言う。

 要するに、大事なのは週当たりの推奨運動量をどう消化するかではなく、必要な量をこなすことなのだ。ただし、やり過ぎはかえって危険かもしれない。

【参考記事】朝食にアイスクリームを食べると健康的?──研究

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米貿易赤字、3月は0.1%減の694億ドル 輸出入

ワールド

ウクライナ戦争すぐに終結の公算小さい=米国家情報長

ワールド

ロシア、北朝鮮に石油精製品を輸出 制裁違反の規模か

ワールド

OPECプラス、減産延長の可能性 正式協議はまだ=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 10

    「みっともない!」 中東を訪問したプーチンとドイツ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中