最新記事

リーダーシップ

部下の話を聞かない人は本当のリーダーではない

2016年10月28日(金)06時22分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

唯我独尊タイプのリーダーは潰れやすい

 経営者マインドに欠かせなのは、広い視野を持つことだ。「それは私の仕事じゃない」「私にはそんな権限はない」といった考え方では、いつまでたってもリーダーシップは発揮できないし、実際にリーダーの地位に立つこともできない。

 平社員でも中間管理職でも、普段から経営者の立場で考えて行動するよう意識していれば、視野が広くなり、洞察力や決断力も向上する。「優れたプロフェッショナルは自分で仕事の範囲を狭めない。数レベル上の立場でものを考えるのだ」と、カプランは強調する。日頃から、そうした心構えで仕事に臨んでいる人は、上司から抜擢されて昇進の機会も得やすい。

 経営者になったつもりで考えて行動する──。なんだ簡単じゃないか、誰にでもできると思うだろう。だが世の中にはリーダーシップを発揮できない人は大勢いるし、リーダーとして失格の烙印を押されている人も少なくない。

 なぜか? 問題に直面したときに自分の弱みをさらけ出すことができず、孤立を深めているからだとカプランは指摘する。彼によれば、リーダーリップとは結局のところ、「団体競技」。リーダーは周りの協力なしにチームの成功はないことを悟らなければならない。自分の力だけではリーダーになることも、リーダーシップを伸ばすことも難しいのだ。

 有無を言わさず部下をぐいぐいと引っ張る強いリーダーが理想だと言う人もいるが、そのような唯我独尊タイプは壁にぶつかったときに潰れやすい。プライドが邪魔して周りに自分の弱さを見せることも、助言を求めることもできないからだ。厄介なことに、昇進して高い地位に就いた人ほど、この傾向は強い。

【参考記事】頭が良すぎるリーダーの、傲慢で独りよがりな4つの悪い癖

 カプランは多くの企業役員やCEOたちの相談に乗ってきた経験からこう指摘する。


優秀な人のなかには、リーダーの地位に就いたときに、すべての答えを知っていなければと思い込む人がいます。答えを知っているかのように振る舞わなければ、役立たずだとか、小心者だとか、無能だなどと思われそうで不安なのです。仮に誰かに質問をしたとしても、形だけです。要するに、学ぶつもりで真剣に相手の答えを聴いていないのです。なぜでしょうか? 意見を変えたり、他人の意見に左右されたりすると、意思が弱い人だと思われそうで不安なのです。(p.76より)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

岸田首相、「グローバルサウスと連携」 外遊の成果強

ビジネス

アングル:閑古鳥鳴く香港の商店、観光客減と本土への

ビジネス

アングル:中国減速、高級大手は内製化 岐路に立つイ

ワールド

米、原発燃料で「脱ロシア依存」 国内生産体制整備へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 6

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 7

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中