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ネット世界「地球村」で孤立する「紅い皇帝」――第二回世界インターネット大会

2015年12月17日(木)19時27分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

裸の王様? 「世界」インターネット会議には程遠かった中国主催のサミット Aly Song-REUTERS

 16日、浙江省で開かれた世界インターネット大会で習主席は世界のネット界を「地球村」と表現したが、参加した首脳級はロシアやパキスタンら友好国のみ。言論弾圧をする中国に対する地球村の冷ややかな視線が際立った。

「紅い皇帝」習近平に冷ややかな目

 世界インターネット大会は、中国政府の呼びかけによって創設され、2014年11月19日に第一回大会が浙江省烏鎮市で開催された。中国側は、これは世界最大規模で最高レベルの世界インターネットネットのサミットだと称している。主催は中華人民共和国国家インターネット情報弁公室で、地元の浙江省人民政府も共催の形を取る。

 その第二回大会が今年11月16日から18日まで同じく浙江省烏鎮で開催された。

 しかし、「サミット」と中国側が位置づける割には、首脳級が参加したのは「ロシアのメドベージェフ首相、パキスタンのシャリーフ首相、カザフスタンのマシモフ首相、キルギスタンのサリエフ首相、タジキスタンのラスルゾダ首相......」など8つの友好国に過ぎない。これらは中国とロシアおよび中央アジア諸国によって構成される上海協力機構のメンバー国であって、とても「世界のサミット」とはほど遠い。

 それ以外はネットビジネス関係の代表者ばかりだ。

 習近平国家主席は、開幕式において基調演説をしたが、どうも「尊敬する○○総理(大統領)」といいった挨拶の言葉が長すぎて、「尊敬する○○様」が10人続いた。それからやっと「および、ご来賓の皆さま」に入るという異例の挨拶から入った。

 それは、一人一人の首脳級参加者名でも列挙しないと、誰も来ていないということが明白だからで、しかし列挙したことにより、そういう国の首脳級しか来てないことを際立たせる結果となった感は否めない。

 長いが、ここまでやったのだから、いっそ基調演説の冒頭だけを、そのまま書き写す。但し、( )内の説明は筆者が加筆。参加した証拠をご覧になりたい方は、このページをご覧いただきたい。「このページ」に載ってない内容に関しては、個別にリンクを張る。

 尊敬するフセイン総統(パキスタンの大統領)、
 尊敬するメドベージェフ総理(ロシアの首相)、
 尊敬するマシモフ総理(カザフスタンの首相)、
 尊敬するサリナフ総理(キルギスタンの首相)、
 尊敬するラスルゾダ総理(タジキスタンの首相)、
 尊敬するアチモフ第一副総理(ウズベキスタンの第一副首相)、
 尊敬するソワ・レニ副首相(タンザニアのXiao Xi Francois Lenny副首相)、
 尊敬する呉紅波副秘書長(国連の潘基文事務総長の書面を代読した副事務総長)、
 尊敬する趙厚麟秘書長(国際電信聯盟事務局長)、
 尊敬するシュワブ先生(世界経済フォーラム、ダボス会議などの創始者)

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