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米国株式市場、新型ウイルス懸念でダウ過去最大の1100ドル超急落

2020年2月28日(金)08時34分

米国株式市場は、新型肺炎懸念でダウ工業株30種とS&P総合500種が6日続落、ナスダック総合も急反落して取引を終えた。ダウは1100ドルを超える下落となり、過去最大の下げ幅を記録した。ニューヨーク証券取引所で撮影(2020年 ロイター/BRENDAN MCDERMID)

米国株式市場は、ダウ工業株30種とS&P総合500種が6日続落、ナスダック総合も急反落して取引を終えた。新型コロナウイルスによる肺炎の世界的な拡大を受け、経済成長を巡る懸念が強まった。ダウは1100ドルを超える下落となり、過去最大の下げ幅を記録した。

S&P500は19日に付けた終値ベースの最高値を12%下回る水準となり、過去最短の6日で調整局面入りした。S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズのアナリストによると、これまでの最短は2018年初めに記録した9日だった。

主要3指数はいずれも週間の下落率が世界的な金融危機以来の大きさになる見通しだ。

中国以外の感染者の増加数が中国国内を上回る中、感染が広がる国では学校の休校やイベント中止などの対応がとられている。米国では疾病対策センター(CDC)が26日夜、感染経路の不明な患者を確認したことを明らかにした。

取引時間中には売りが和らぐ場面もあったが、引け前1時間で下げが加速。S&P500はこの日の安値付近で取引を終え、2011年8月18日以来の大幅な下落率を記録した。

ダウは12日に付けた終値ベースの最高値を12.8%下回る水準で引けた。ナスダックも19日に付けた終値ベースの最高値から12.7%下落している。

米株式投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)は11.60上昇し、2018年2月以来の高水準となる39.16で終了した。

S&P500の主要11セクターはいずれも下落し、不動産は5%を超える大幅安となった。

航空便などの混乱が世界的体に広がるとの懸念から、NYSEアーカ航空指数も4.7%安となった。

アナリストの間では新型ウイルスによる経済への影響を警戒する見方が強まっており、ゴールドマン・サックスは米企業の2020年利益が前年比横ばいになるとの見方を示した。[nL3N2AR54X]

マイクロソフトは7%急落。新型ウイルスの感染拡大でサプライチェーンが打撃を受け、パソコン(PC)事業に影響が出ると警告。基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」を含むPC部門の1─3月期売上高が、当初予想に届かない可能性があるとした。[nL3N2AR657]

スリーエムは、マスクの販売増の恩恵を受ける可能性があるとしてアナリストが投資判断を引き上げたが、株価は0.8%の上昇にとどまった。

米取引所の合算出来高は156億3000万株で、リフィニティブのデータによると、少なくとも2014年7月以来の大きさとなった。直近20営業日の平均は86億7000万株。

ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を7.51対1の比率で上回った。ナスダックでも5.87対1で値下がり銘柄数が多かった。

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