最新記事

ライフプラン

裏口入学は割に合うのか? 米一流大不正事件の投資利益率を考える

2019年3月19日(火)10時15分

大学には行く価値があると専門家も認める。だがそれは、どのような代償を払っても、ということなのだろうか。写真は女優フェリシティ・ハフマン被告。カリフォルニア州で12日撮影(2019年 ロイター/Mike Blake)

大学には行く価値があると専門家も認める。だがそれは、どのような代償を払っても、ということなのだろうか。

子どもを名門大学に入学させるため、入試で不正を働いたり賄賂を贈ったりした疑いで、米国の芸能人や企業幹部ら50人以上が訴追された。高等教育への進学が目的だったとしても、罪を犯しては報われないという教訓を、手痛い形で学ぶことになった。

彼らは刑事処分を受けることになるだろうが、同事件はまた、次のような疑問を提起している。

親が支払ったカネは、今後子どもが長期にわたって手にするであろう経済的利益に果たして見合うものなのか──。

カリフォルニア州の不動産投資会社ウッドサイド・プロパティー(WP)インベストメンツの共同創業者、ブルース・アイザックソン夫妻は2015年7月、娘をカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)にサッカー選手枠で入学させるため、当時25万1000ドル(約2800万円)相当だったフェイスブックの株式2150株を譲渡したことを、刑事告訴状は示している。もし譲渡していなかったら、現在その価値は約37万3000ドルになっていただろう。

夫妻はその後、下の娘をボート競技選手と偽って南カリフォルニア大に入れるために、さらに35万ドルを費やした。

ヘラクレス・キャピタルのマヌエル・エンリケス最高経営責任者(CEO)と妻のエリザベスは、娘をジョージタウン大に入学させるため、試験で不正を行い、娘がテニス選手であると偽るために50万ドル以上を支払った疑いで、ニューヨークで逮捕された。

また、当局によると、有力選手でないにもかかわらず、サッカー特待生として女子生徒をイエール大に進学させるために親戚が120万ドル支払ったケースもあるという。

子どもの願書を良く見せるため、共通テストの結果を改ざんするのに1万5000ドルを支払い、訴追された親たちもいる。

こうしたカネはすべて、学費や生活費など他の初期費用の前にかかる。いずれのケースにおいても、犯罪は報われたといえるのだろうか。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

再送米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比

ワールド

「トランプ氏と喜んで討議」、バイデン氏が討論会に意

ワールド

国際刑事裁の決定、イスラエルの行動に影響せず=ネタ

ワールド

ロシア中銀、金利16%に据え置き インフレ率は年内
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中