コラム

トランプが壁ドンして言ったこと(良いトランプ・ジョーク)

2020年02月17日(月)17時25分

ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN

<トランプはなぜ国境に壁を建設したい?――トランプ大統領はいま世界のジョーク界の主役だが、実はネタの内容が望ましくないジョークも多い。世界各地でジョークを収集してきたノンフィクション作家、早坂隆氏によるジョーク・コラム第4回>

【因果関係】
トランプ大統領にペンス副大統領が聞いた。

「大統領はなぜ、そんなに国境に壁を建設したいのですか?」

それを聞いたトランプは、豪快に笑いながら答えた。

「君はもっと世界史を学ぶべきだね。そして、物事の因果関係をしっかりと見極めるべきだ」

「どういうことでしょうか?」

トランプは続けた。

「君は中国がかつて巨大な壁を建設したことを知っているかね?」

「グレートウォール(万里の長城)ですね」

「そうだ。そして、それを踏まえた上で、中国の現状をよく考えてみたまえ」

「と言いますと?」

トランプは得意げに言った。

「中国にメキシコ人はたくさんいるのかね?」

◇ ◇ ◇

現在、世界のジョーク界の主役は、何と言ってもアメリカのドナルド・トランプ大統領。これまでの政治家にはないその規格外のキャラクターは、世界中で格好の「笑いのターゲット」となっている。

ただし、以下の話は意外なことに聞こえるかもしれないのだが、実はそのネタの内容は先のジョークのようにトランプの政策を風刺するものよりも、彼の外見を単純にバカにするような性質のものが多い。特にアメリカでは、彼の肌の色を「オレンジ」と揶揄するネタや、頭髪を「かつら」としてコケにするような、小学生の悪口レベルのジョークが人気を集めている。

率直に言って、このことは今のアメリカ社会のかたちを如実に表しているように思う。皆、あまりに感情的なのである。

感情化する社会の行く末

ジョークは社会の本質を映し出す鏡のような存在でもあるが、「トランプ・ジョーク」におけるこの現象は「アメリカ社会の分断」を感じさせる象徴的な風潮にも見える。

アメリカは今や人種の別ではなく、その支持政党の違いによって大きく分断されている──ものすごく感情的に。

プロフィール
今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ANAHD、今期18%の営業減益予想 売上高は過去

ワールド

中国主席「中米はパートナーであるべき」、米国務長官

ビジネス

中国、自動車下取りに補助金 需要喚起へ

ビジネス

円安、物価上昇通じて賃金に波及するリスクに警戒感=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story