最新記事

健康

1回40秒、風呂上がりと外出前の1日2回...「ひざの痛み」が消えるエクササイズ

2022年1月22日(土)18時18分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Q ひざが痛くなったら、患部を冷やしたほうがよいのでしょうか? 温めたほうがよいのでしょうか?

A 従来、急性の痛みに対してはRICE処置というものが推奨されていました。RICEとは、「Rest(安静)」「Ice(冷却)」「Compression(圧迫)」「Elevation(挙上)」の頭文字からとった呼び方で、とくにスポーツ障害においては主流となっています。

しかし、2021年に新たな実験結果が発表されて注目を浴びています。神戸大学の荒川高光准教授らのチームが行った、マウス(実験用の小型のネズミ)を使った実験によると、重度の肉離れに近い筋損傷を再現したマウスの脚に氷の入った袋を30 分間、2時間ごとに3回当てることを3日間続けて、筋損傷から2週間後に筋肉の状態を観察したところ、アイシングをした場合は、アイシングをしていない場合よりも筋肉の再生が遅れていることがわかったのです。

筋肉が損傷すると、炎症細胞が集まって筋細胞を食べたあとに新たな筋細胞がつくられて、筋肉は再生します。アイシングをすると、この炎症細胞が集まるのが約1日遅くなることが明らかになりました。

動物実験の結果をそのまま人間に当てはめることはできませんが、少なくとも、どのような場合も冷やせばよいというわけではないといえるでしょう。炎症が起こっているのは血流をよくして回復を促すためという考えから、2019年ごろから、海外では冷やさない治療が主流となっています。私は患者さんの状態を見て、冷やす場合と温める場合を使い分けていますが、温めたほうがよい場合のほうが多いと実感しています

Q ひざの状態をよくすることで、改善が期待できる病気や症状はありますか?

A 最も顕著なのがO脚です。ひざの関節が正しい位置に収まると、足の内側(第1指側)の筋力がつき、脛骨が外側(第5指側)に引っぱられることがなくなるからです。

また、こむら返りも起こりにくくなります。こむら返りは、疲れ、血流の悪化、急激な温度変化、ビタミンB1やカルシウム、マグネシウムの不足、脱水などにより、収縮と弛緩をくり返す筋線維が急に固くなって起こる、ふくらはぎの筋肉の痙攣症状です。ふくらはぎの筋肉である腓腹筋は、ひざとつながっているので、ひざの動きがよくなると、その分、ふくらはぎの負担がへるため、こむら返りが起こりにくくなるのです。

『ひざ痛がウソのように消える! 1日40秒×2 ひざのお皿エクササイズ』
 著者:高林 孝光
 出版社:CCCメディアハウス
(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

英サービスPMI4月改定値、約1年ぶり高水準 成長

ワールド

ノルウェー中銀、金利据え置き 引き締め長期化の可能

ワールド

トルコCPI、4月は前年比+69.8% 22年以来

ビジネス

ドル/円、一時152.75円 週初から3%超の円高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中