最新記事

アメリカ経済

高インフレでジリ貧のアメリカ人、政府に追加の現金給付を求める

Stimulus Check: Millions Want More Checks as Inflation Impacts Thanksgiving

2021年11月26日(金)15時51分
ジェイソン・レモン
小切手

感謝祭を祝うための七面鳥や食料の配給に並ぶアメリカ人(11月23日、マサチューセッツ・チェルシー)Brian Snyder-REUTERS

<休暇シーズンを直撃した物価高騰でクリスマスプレゼントも買えなくなった勤労者世帯が、追加給付を求めるオンライン請願書に大挙署名>

アメリカでは急速なインフレ(物価の高騰)に見舞われており、アナリストたちは今年の感謝祭が、史上最も高くつく感謝祭になる可能性があると言っている。こうしたなか大勢の米国民から、給付金の追加支給を求める声が上がっている。

オンライン署名サイト「Change.org」では、連邦議会に対して給付金の追加支給を求める請願に、300万近い署名が集まった。この請願(約297万人が署名)は議会に対して、毎月2000ドルの直接給付を行うことを承認するよう求めるものだ。

請願書を作成したステファニー・ボニンは同署名サイト上に、「このインフレは、我が家のような勤労者世帯にとって壊滅的だ」と書き込んだ。「議会は、大人1人あたり2000ドル、子ども1人あたり1000ドルの直接給付を即座に支給し、危機が続く間は定期的な支給を続けるよう求める」

Change.org上にはほかにも、議会やジョー・バイデン大統領に対して同様の呼びかけを行う複数の請願があり、数万人から数十万人の署名が集まっている。インフレにより物価はどんどん高騰し、追加で毎月給付金を支給するか、少なくとも景気刺激策として新型コロナ発生以来4回目となる追加の現金給付を行うよう求める内容だ。

史上最も高くつく感謝祭

CNNは11月19日、インフレが原因で2021年の感謝祭は史上最も高くつく感謝祭になる可能性があると報道した。報道では、感謝祭の食事にかかる平均費用が前年より5%高くなるだろうという米農務省の予測に注目した。一方、米農業会連合は、最大14%高騰する可能性もあると予測した。

政策研究機関のブルッキングス研究所が11月に入って行った報告によれば、2020年10月から2021年10月にかけて、消費者物価指数(CPI)は6.2%上昇。個人消費支出総合指数(PCEデフレーター)は、2020年9月から2021年9月にかけて4.4%上昇している。

Change.orgの請願書に署名した人々は、同サイトへのコメントの中で、休暇シーズンを前に物価の高騰が幾らか緩和されることを願って署名したと書き込んだ。

アラン・マッカービッツと名乗る人物は、「私は固定給だから請願書に署名した。物価が高騰した結果、私にとって今年の感謝祭は冴えないものになってしまった」とした。「これからクリスマスがやって来るが、このままでは家族や友人にプレゼントを買うこともできない」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

神田財務官、介入有無コメントせず 過度な変動「看過

ワールド

タイ内閣改造、財務相に前証取会長 外相は辞任

ワールド

中国主席、仏・セルビア・ハンガリー訪問へ 5年ぶり

ビジネス

米エリオット、住友商事に数百億円規模の出資=BBG
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 7

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中