最新記事

米外交

米国務長官に指名されたブリンケンの外交語録

What Antony Blinken Has Said about Key Foreign Policy Issues

2020年11月24日(火)17時40分
デービッド・ブレナン

オバマ前政権で国務副長官などを務めた経験豊富なブリンケン Christian Hartmann-REUTERS

<ロシアと北朝鮮に甘く中国と同盟国には厳しかったトランプ政権の外交は正常化するか>

米大統領選で勝利を確実にしたジョー・バイデンは、アンソニー・ブリンケン(58)を次期政権の国務長官に指名すると発表した。

ブリンケンはバラク・オバマ前政権で国務副長官や国家安全保障問題の大統領副補佐官を務めた。当時、副大統領だったバイデンの国家安全保障問題担当補佐官も務めていた。

CNNによれば、ブリンケンはオバマ政権の外交政策チームの要として、ロシアのクリミア併合や同じくウクライナ分離主義勢力への加勢、アメリカが2011年に行ったウサマ・ビンラディンの潜伏先急襲、イラクとシリアでの過激派組織「イスラム国(IS)」との戦いで中心的な役割を果たした。

指名が承認されれば、ブリンケンは「国際社会でのアメリカのリーダーシップを取り戻し、同盟諸国との関係を修復・強化し、世界中で民主主義と人権を擁護していく」というバイデンの公約を実行していくことになる。

アメリカ分断の隙を突かれた

ブリンケンはロシアに対して強硬姿勢を支持してきた。オバマ政権時代にロシアによるウクライナ侵攻やクリミア併合に抵抗した自身の経験や、ウクライナ東部で今もロシアが反政府勢力を支援して、ウクライナ政府との紛争を続けていることが理由だ。

またオバマ政権時代、ロシアはシリア内戦において、バシャル・アサド大統領による反体制派の弾圧を支持するようになり、その後も海外での暗殺や政治介入を続けている。

ブリンケンは2014年、ブルッキングス研究所のイベントで、ロシアを孤立させることは「重要だ」と語り、こう説明した。「ウラジーミル・プーチン大統領が自らと国の強さを測る基準の1つは、ロシアが地政学的に影響力を及ぼせる範囲の大きさだ。国際社会でロシア政治的に孤立させれば、その自信を弱めることができる」

また9月には、ドナルド・トランプ大統領の誕生によってロシアや中国のような国が得をしており、これらの国がアメリカ政治の分断を深刻化させようとしているとも警告した。「アメリカの民主主義が後退しており、ロシアや中国などの専制国家がそれを悪用しようとしている」と彼はCBSニュースに語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トルコCPI、4月は前年比+69.8% 22年以来

ビジネス

ドル/円、一時152.75円 週初から3%超の円高

ビジネス

仏クレディ・アグリコル、第1半期は55%増益 投資

ビジネス

ECB利下げ、年内3回の公算大 堅調な成長で=ギリ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中