最新記事

昆虫

注意喚起、 猛毒を持つふさふさの毛虫が米バージニア州で相次いで目撃される

2020年10月14日(水)17時15分
松岡由希子

バージニア州林業省から注意が呼びかけられた「サザン・フランネル・モス」の幼虫 Virginia Department of Forestry-Facebook

<「米国で最も危険なイモムシ」が米国東部のバージニア州の公園や建物の近くで相次いで目撃され、注意が喚起されている...... >

ふさふさの長い毛で全身を覆われた「米国で最も危険なイモムシ」が米国東部のバージニア州の公園や建物の近くで相次いで目撃され、不用意に触れるのは非常に危険なため、注意が喚起されている。

ふさふさとした毛に触れるのは非常に危険

小さなウィッグのようなこの毛虫は、蛾の一種「サザン・フランネル・モス」の幼虫だ。ふさふさとしたネコのような毛を持つことから「プス・キャタピラー(ネコ毛虫)」とも呼ばれる。体長3〜3.5センチで、主にカシやニレの葉を食べて成長する。フロリダ州やテキサス州など、米国南部で多く生息しており、バージニア州で見つかるのは珍しい。

content-1602243271-megalopyge-opercularispccp20040714-5799b.jpg

サザン・フランネル・モスの成虫 Patrick Coin-wikimedia


この毛虫のふさふさとした毛に不用意に触れるのは非常に危険だ。この毛は毒針で、人の皮膚に触れると、赤く格子状の刺し傷ができ、激しい灼熱痛を引き起こす。このような特徴的な症状に加え、頭痛や発熱、嘔吐、頻脈、けいれんなどの症状が起こることもあり、適切に治療しなければ致命的となるおそれすらある。

Weber-1189665795a.jpeg

Weber-iStock

激しい痛みにより救急救命室(ER)で治療

2020年9月4日にバージニア州東部ニューケント郡の自宅のガレージでこの毛虫に右足を刺された55歳の女性は、地域紙「デイリー・プログレス」で「焼けた刃物がふくらはぎの外側を貫通したようだった」と自身の経験を振り返る。

この女性は、激しい痛みにより救急救命室(ER)で治療を受け、回復までに3日かかった。バージニア州林業省(VDOF)は、フェイスブックの公式アカウントで「この毛虫とソーシャルディスタンスをとるように」と注意を呼びかけている。

分布域から外れたバージニア州でこの毛虫の目撃が相次いでいる原因については、明らかとなっていないが、米国では2020年の夏、猛暑に見舞われたことから、この蛾の分布域が北上した可能性もあるという。バージニア州林業省は、現時点では「この毛虫の個体数は天敵によって適切に制御されるだろう」との見通しを示している。

Southern Flannel Moth Caterpillar, Megalopyge opercularis
今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

訂正(7日配信記事)-英アストラゼネカが新型コロナ

ワールド

EXCLUSIVE-チャットGPTなどAIモデルで

ビジネス

円安、輸入物価落ち着くとの前提弱める可能性=植田日

ワールド

中国製EVの氾濫阻止へ、欧州委員長が措置必要と表明
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グラフ」から強さを比べる

  • 4

    迫り来る「巨大竜巻」から逃げる家族が奇跡的に救出…

  • 5

    習近平が5年ぶり欧州訪問も「地政学的な緊張」は増す…

  • 6

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    イギリスの不法入国者「ルワンダ強制移送計画」に非…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 10

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中