パンデミック拡がるアフリカ、オンライン診療急拡大 欧米企業も大型投資
ルワンダで2016年に業務を開始した米カリフォルニア州のドローン企業ジップラインは、昨年1億2000万ドルの出資を受けた。同社はルワンダに2カ所のドローン離着陸拠点を設置し、国内の95%の地域をカバーできると見ている。
ジップラインは2019年にはガーナにも進出。同国が今年5月にロックダウンを行った際には政府から協力要請を受け、ワクチンや防護服などを配送した。ガーナ政府はジップラインの業務拡大について同社と協議している。
アフリカで最も人口の多いナイジェリアもハイテク企業が役立つ余地が大きいとみられている。アブジャの当局は、新型コロナ検査の結果が陰性だった場合に自動でテキストメッセージを送るシステムの構築に向けて、イーヘルス・アフリカの慈善事業部門に相談を持ちかけた。
ナイジェリア疾病予防センター(NCDC)の責任者は、検査結果の自動処理により検査数を増やせるとの見方を示した。
経済危機が影響
新型コロナ流行はハイテク医療企業にとって追い風だが、アフリカの経済問題が一段と深まる要因にもなった。国際通貨基金(IMF)の推計によると、サハラ以南のアフリカ諸国の今年の国内総生産(GDP)成長率はマイナス3.2%と予想されている。またアフリカ連合によると、新型コロナ流行によりアフリカ全体で約2000万人が職を失う恐れがあり、そうなれば国民の医療費負担能力は低下する。
そもそもアフリカ諸国は海外諸国に比べて医療支出が少ない。ブルッキングス研究所のデータによると、アフリカの人口は世界全体の16%だが、2015年の全世界の医療支出に占める比率は1%に過ぎなかった。国民1人当たりの医療支出で見ると、諸外国はアフリカの10倍に達する。
インターネットの接続環境の悪さや不安定な電力供給も、医療ハイテク技術導入の障害になるだろう。
メティボバさんはインターネットの接続性が悪い問題に対処するため、2つの回線を使い分けている。費用はかかるが、遠隔診療のために今後もこの方法を続けるつもりだという。
(Alexis Akwagyiram記者)
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