最新記事

医療

パンデミック拡がるアフリカ、オンライン診療急拡大 欧米企業も大型投資

2020年9月14日(月)11時09分

ルワンダで2016年に業務を開始した米カリフォルニア州のドローン企業ジップラインは、昨年1億2000万ドルの出資を受けた。同社はルワンダに2カ所のドローン離着陸拠点を設置し、国内の95%の地域をカバーできると見ている。

ジップラインは2019年にはガーナにも進出。同国が今年5月にロックダウンを行った際には政府から協力要請を受け、ワクチンや防護服などを配送した。ガーナ政府はジップラインの業務拡大について同社と協議している。

アフリカで最も人口の多いナイジェリアもハイテク企業が役立つ余地が大きいとみられている。アブジャの当局は、新型コロナ検査の結果が陰性だった場合に自動でテキストメッセージを送るシステムの構築に向けて、イーヘルス・アフリカの慈善事業部門に相談を持ちかけた。

ナイジェリア疾病予防センター(NCDC)の責任者は、検査結果の自動処理により検査数を増やせるとの見方を示した。

経済危機が影響

新型コロナ流行はハイテク医療企業にとって追い風だが、アフリカの経済問題が一段と深まる要因にもなった。国際通貨基金(IMF)の推計によると、サハラ以南のアフリカ諸国の今年の国内総生産(GDP)成長率はマイナス3.2%と予想されている。またアフリカ連合によると、新型コロナ流行によりアフリカ全体で約2000万人が職を失う恐れがあり、そうなれば国民の医療費負担能力は低下する。

そもそもアフリカ諸国は海外諸国に比べて医療支出が少ない。ブルッキングス研究所のデータによると、アフリカの人口は世界全体の16%だが、2015年の全世界の医療支出に占める比率は1%に過ぎなかった。国民1人当たりの医療支出で見ると、諸外国はアフリカの10倍に達する。

インターネットの接続環境の悪さや不安定な電力供給も、医療ハイテク技術導入の障害になるだろう。

メティボバさんはインターネットの接続性が悪い問題に対処するため、2つの回線を使い分けている。費用はかかるが、遠隔診療のために今後もこの方法を続けるつもりだという。

(Alexis Akwagyiram記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ロシア開発のコロナワクチン「スプートニクV」、ウイルスの有害な変異促す危険性
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・パンデミック後には大規模な騒乱が起こる
・ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死


20200922issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

9月22日号(9月15日発売)は「誤解だらけの米中新冷戦」特集。「金持ち」中国との対立はソ連との冷戦とは違う。米中関係史で読み解く新冷戦の本質。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ビットコイン5万8000ドル割れ、FOMC控え 4

ビジネス

三井物産、今期純利益15.4%減 自社株買いと株式

ワールド

ロシア国防相、ウクライナ作戦向け武器供給拡大を指示

ワールド

メキシコ、第1四半期GDPは前期比0.2%増 前年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 7

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 8

    なぜ女性の「ボディヘア」はいまだタブーなのか?...…

  • 9

    衆院3補選の結果が示す日本のデモクラシーの危機

  • 10

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中