最新記事

イスラム過激派

IS関連テロ組織、アジアでいまだ潜伏・活動中 インドネシア、治安部隊が容疑者射殺

2020年2月10日(月)15時35分
大塚智彦(PanAsiaNews)

今もインドネシア警察の対テロ特殊部隊はイスラム過激派組織メンバーの捜索を続けている。 Antara Foto/Wahyu Putro A - REUTERS

<テロ事件は2年近く起きてないが、メンバーは常に爆弾を持ちながら行動を起こす機会をうかがっている>

インドネシア警察は2月7日、スマトラ島リアウ州で中東のテロ組織「イスラム国(IS)」と関連があるとされるインドネシアのテロ組織「ジェマ・アンシャルット・ダウラ(JAD)」のメンバーを逮捕時に抵抗したことから射殺したことを明らかにした。

インドネシアでは2018年5月のジャワ島スラバヤ市でのキリスト教会を狙った自爆テロ事件(自爆犯を含めた23人死亡、100人以上が負傷)以降、大規模な被害を伴うテロ事件は起きていない。

これは治安当局によるテロ組織、メンバーへの摘発や掃討作戦による一定の成果といわれているが、一方で地方都市などでは弱体化したテロ組織が新規メンバーのリクルートや手製爆弾製造などで新たなテロの準備などをしているとの情報もある。

今回のテロ容疑者射殺も逮捕時に爆弾で抵抗しようとしたため警察側がやむなく発砲したもので、治安当局では「差し迫ったテロの情報があるわけではない」としながらも警戒を強める事態となっている。

2月6日、リアウ州プララワン地方にあるカンバル川で小型釣り船に乗っていた男をテロ容疑で逮捕しようとしたところ、この男がパイプ爆弾のようなものを投げて抵抗した。このため「男性を"無力化"するしか選択肢がなかった」(地元警察報道官)として現場で射殺したという。この際警察官1人が負傷した。

その後の調べて射殺された男性はワヒュー(29)容疑者で、爆弾を所持していたことなどからJADのメンバーとみられている。ジャカルタにある国家警察のアセップ・サプトラ報道官は「現在まだ詳細を調査中である」として事件の詳しい経緯への言及を避けている。

だが地元メディアなどは「ワヒュー容疑者はジャンビ州の自宅で妻と子供と生活していたが、1月に姿を消して行方不明となっていた。周囲の住民はワヒュー容疑者がテロリストだったことに一様に驚いている」などと伝えている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア裁判所、JPモルガンとコメルツ銀の資産差し押

ワールド

プーチン大統領、通算5期目始動 西側との核協議に前

ビジネス

UBS、クレディS買収以来初の四半期黒字 自社株買

ビジネス

中国外貨準備、4月は予想以上に減少 金保有は増加
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 7

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中