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英総選挙、保守党圧勝でもEU離脱が難しいこれだけの理由

2019年12月16日(月)11時30分
ジョシュア・キーティング

スコットランド民族党は分離独立へ?

2016年にはCETAの交渉自体が決裂寸前まで行った。現在も同協定は「暫定適用」の段階であり、EU全加盟国の批准はまだ終わっていない。イタリアはチーズや生ハムなど、自国の特産品に対する保護が十分ではないとして、協定の破棄も辞さない姿勢を示している。

保守党はまた、EU離脱後のイギリスを税負担が軽く、規制が少ないシンガポールのような国際ビジネスの結節点にする構想も掲げている。だが対等な条件での競争を主張するEU側が補助金、税の水準、労働法制や環境基準の面で圧力をかけてくる可能性は十分にある。漁業権や知的財産権など、交渉で問題になりそうな分野はまだまだある。

つまり、今後のEUとの交渉は一筋縄ではいきそうにない。ジョンソンは11カ月間で交渉をまとめることは十分に可能だと主張しているが、EU側の当局者は懐疑的だ。

加えて北アイルランドの将来の地位や、スコットランドの分離独立を問う住民投票に意欲を示すSNPの動向など、厄介な争点がほかにもある。このことを考えれば、「癒やしのプロセスを始める」のは当分先になりそうだ。

© 2019 The Slate Group

<2019年12月24日号掲載>

【参考記事】英総選挙、驚きの保守党圧勝を読み解くと
【参考記事】英総選挙、どっちつかずより「とっとと離脱」を選んだイギリスは大丈夫か

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