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学力よりも性別で年収が決まる、日本は世界でも特殊な国

2019年11月6日(水)17時45分
舞田敏彦(教育社会学者)

高学力の女性は、低学力の男性よりも稼ぎが少ない。これが日本の現実だが、こういう社会は他にもあるか。各国のサンプルからこの2つの群を取り出し、年収が上位25%以上の人の割合を出してみた。<表1>は、データが得られた21カ国の中での対比だ。

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稼ぎが多い人の出現率だが、日本の女性の高学力群は19%、男性の低学力群は26%なので、前者から後者を引いた値はマイナスになる。

前者の稼ぎが後者よりも少ない国は、日本、韓国、スロバキアの3カ国だけのようだ。アメリカでは、高学力女性の数値が低学力男性よりも21ポイント高くなっている。実力主義のお国柄が出ている。ジェンダーよりも能力だ。

国際的にみればこちらがスタンダードで、日本はそれから最も隔たっている。日本の高学歴マザーのフルタイム就業率は、宗教的な統制の強い中東諸国と同レベルという現実もある(拙稿「日本の大卒女性の正社員率は、母親世代では中東レベルの低さ」本サイト、2017年11月1日)。

また「PIAAC 2012」のデータで検討してみると、日本の生産年齢女性では、フルタイム就業者よりも専業主婦の学力平均点が高い傾向すらある。統計的に有意ではないものの、日本独特の傾向だ。

日本では、公平なメリトクラシーの実現をジェンダー要因が阻んでいる。致し方ないことと片付けてよい問題でないことは、<表1>のデータから明らかだ。才能の浪費は社会にとっても損益となる。女性がフルタイム就業できる環境を作ることが急務だ。

<資料:OECD「「PIAAC 2012」

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