香港キャセイ・パシフィック社員がおびえる中国の「恐怖政治」
客室乗務員の1人は電話でロイターに対し、会社が操縦士2人を解雇したことに従業員は当初怒りと失望を感じていたと説明。しかしその後、「社が中国からどれほど圧力を受けているかが分かって以来、私たちは怒るのを止め、同情を感じるようになった。社は中国のご機嫌を取る必要があるのだと分かった」。
他の社員3人は、多くの乗務員は中国便を避けようとしているとした上で、何か発言すればそれが会社の上層部や中国側に漏れるのではないかと恐れていると話した。
ある客室乗務員は「旅行客から香港で起こっていることについて質問されたら事実関係だけを伝え、中立を保つようにしている。私を『告げ口』する口実に使われたくないから。中国人観光客はそこら中にいる」と語った。
ロイターは、キャセイ本社や空港の周辺などで通りすがりの社員など十数人に取材したが、中国政府の行動を支持すると答えた社員は1人もいなかった。
キャセイの従業員らが利用するフェイスブックのページには今、今回の危機への対処法について意見交換するメッセージがあふれかえっている。大半は忠誠と沈黙を訴える内容だ。
「キャセイの今日は香港の明日だ。今の仕事を守るためには黙って妥協を続けるしかない」という声が聞かれた。
一方で、抵抗のための結束を呼びかける投稿もある。
「残念ながら会社は存続するために屈服せざるを得ないが、われわれはその必要がない。人々の信頼を回復すべく、いつも以上に結束を固めるべきだ。そうしなければ2万7000人全員が路頭に迷いかねない」
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