最新記事

日本社会

地方が「成功者への妬み地獄」から脱出する4つの行動 「様子見」は挑戦者潰しへの加担と同じ

2018年11月22日(木)18時36分
木下 斉(まちビジネス事業家)*東洋経済オンラインより転載

何もしないくせに、潰れた後に「私は応援してたんだけどね......」なんて言うのは何の救いにもなりません。そして「あのまちは挑戦には向いていない、潰される」という話が伝わり、次に出てくる人はますます出てこなくなっていき、衰退は極まっていくのです。つまり、地元で新たな店がつぶれたなど失敗の実績が重なれば重なるほど、結局は地元の人にもマイナスが降りかかることになることを、もっと深刻に受け止めるべきです。

倉敷の大実業家、大原氏が残した「最高の言葉」とは?

それでは、もう一方の「挑戦者側の視点」からはどのように考える必要があるでしょうか。実は、先人たちの例をみると、多くの反対をされているからこそ「価値のある仕事」であると考える人も多くいるのです。以下はすばらしい先人の例から学びたいと思います。

③ 7~8人から反対されるうちにやるのが「仕事」

岡山県倉敷市の生んだ大実業家で、倉敷紡績(クラボウ)や倉敷絹織(現・クラレ)などで多数の社長を務めた大原孫三郎氏(1880-1943)は、「労働科学」の分野に日本で初めて本格的に取り組んだ1人として知られ、労働者の環境改善に努めたり、近代美術コレクションなどの文化事業にも功績を残しています。しかし、実はこうした大原氏の取り組みは当時からすれば異端の取り組みとして、つねに周りからの批判にさらされ続けていました。そんな大原氏は、生前このように語っています。

「仕事を始めるときには、10人のうち2、3人が賛成するときに始めなければいけない。1人も賛成がないというのでは早すぎるが、10人のうち5人も賛成するようなときには、着手してもすでに手遅れだ。7、8人も賛成するようならば、もうやらないほうがいい」

このように身内からも反対されたりしても、それで心折れてしまうことなく、自らがやってみようと思うのであれば、2~3人の賛成者しかいないときにこそ挑戦しなくてはならないということです。挑戦し、成功すると、さらにまた別の反対者が現れていきますが、それをネガティブにとらえるよりは、「皆が気づいていないぞ」と前向きにとらえるという考え方もあるということです。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

鈴木財務相「財政圧迫する可能性」、市場動向注視と日

ワールド

UCLAの親パレスチナ派襲撃事件で初の逮捕者、18

ワールド

パプアニューギニアで大規模な地すべり、300人以上

ワールド

米、ウクライナに2.75億ドル追加軍事支援 「ハイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目の前だ

  • 2

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」...ウクライナのドローンが突っ込む瞬間とみられる劇的映像

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    批判浴びる「女子バスケ界の新星」を激励...ケイトリ…

  • 5

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 6

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 7

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 8

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 4

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 7

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 8

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 9

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 10

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中