最新記事

貿易戦争

G7サミットは「アメリカ抜き」で?

2018年6月8日(金)13時10分
ジェイソン・レモン

マクロンとトルドーには「アメリカ抜き」の世界のビジョンが見えている? Chris Wattie-REUTERS

<サミット直前に鉄鋼・アルミの追加関税を打ち出したアメリカに、フランス、カナダなどの同盟国は怒り心頭。マクロンからは「アメリカ要らない」発言も飛び出した>

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、カナダ・ケベック州シャルルボワで8日から開催される先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)を前に、「(G7が)6カ国になっても構わない」と発言し、必ずしもアメリカは必要ではないという考え方を示した。

カナダのジャスティン・トルドー首相と共にカナダで会見したマクロンは、ドナルド・トランプ米大統領の孤立主義的政策に断固として反対する姿勢を見せた。

「G7のうちアメリカを抜いた6カ国の市場を合わせれば、アメリカの市場より大きい」とマクロンは述べ、「我々が考えのまとめ方を知れば、世界覇権は生まれない。そして、我々は世界覇権を望んでいない」と発言した。

またマクロンは、トランプの孤立主義について「現在の米大統領は、孤立することも気にしないようだが、我々も必要であれば6カ国になることを厭わない」

サミットは現地時間の8日からカナダ・シャルルボワで、アメリカ、フランス、カナダ、イギリス、ドイツ、イタリア、日本が参加して開催されるが、ほとんどの国がアメリカの追加関税をめぐってトランプ政権と対立関係にある。

トランプ政権は5月31日、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の追加関税をかけると発表。ヨーロッパ各国などアメリカと貿易関係がある諸外国は、これに対して即座にアメリカ製品への報復関税を課すと発表した。

トルドーもアメリカの追加措置を、「まったく受け入れ難い」と非難。「カナダとアメリカの長らく続く安保協力関係への侮辱、特にアメリカと共に戦って死んだ数万のカナダの戦友たちへの侮辱だ」と手厳しく批判した。

(オタワでマクロン仏大統領と会談。サミットでは、大西洋を挟んでカナダとフランスが貿易を拡大させて仕事や就労機会を生みだすためにどうやってもっと緊密に協力できるか話し合う)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、中国関連企業に土地売却命令 ICBM格納施設に

ビジネス

ENEOSHD、発行済み株式の22.68%上限に自

ビジネス

ノボノルディスク、「ウゴービ」の試験で体重減少効果

ビジネス

豪カンタス航空、7月下旬から上海便運休 需要低迷で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 5

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「人の臓器を揚げて食らう」人肉食受刑者らによる最…

  • 9

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 10

    自宅のリフォーム中、床下でショッキングな発見をし…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中