最新記事

韓国事情

「孤独のグルメ」が広がる韓国〜変わる韓国の日本食ブーム

2018年5月18日(金)17時00分
佐々木和義

「孤独のグルメ」が韓国で人気だ JTBC News-YouTube

<「孤独のグルメ」が韓国で人気だ。1人で食事を楽しむライフスタイルへの変化など、韓国社会の変化と重なった>

ドラマ「孤独のグルメ」のソウルロケが韓国で話題になっている。2018年5月8日午前、SNS(ソーシャルネットワークサービス)に「孤独のグルメ、近況公開」と書かれた記事と写真が投稿され、新聞やテレビ局が取り上げた。

新聞に転載された写真には、スーツ姿の主人公・井之頭五郎を演じる俳優の松重豊氏と撮影スタッフが写っている。ソウル市龍山区宝光洞(ポグァンドン)にある普通の焼肉店で、グルメサイトを見ても特徴のある店ではないが、SNSを見た人などが殺到し、2時間を超える行列ができたという。

翌9日には韓国中西部の全羅北道全州市でロケが行われた。全羅北道は「孤独のグルメ」の取材記事を公式ツイッターに投稿し、自治体公式SNSでは異例の900件を超える反響となっている。


これまでの日本食ブーム

韓国では1988年のソウル五輪と前後して日本食が定着した。一流ホテルは日本食レストランを備え、市中の 「高級日式レストラン」は公式な会食や接待で使われるようになる。この時期、吉野家が進出したが、庶民向けの日本食は受け入れられず、わずか2年で撤退している。

第2次日本食ブームは日本酒とともに広がった。1996年、月桂冠が合弁で日本酒の販売を開始し、2000年代後半から地酒の人気が高まった。

居酒屋チェーンのてっぺんやモンテローザが進出し、合弁やライセンス契約による出店が相次いだ。大手企業や資産家が、提携先を求めて日本各地の有名店を巡り歩いたのである。日本の味と日本酒を提供する飲食店は「IZAKAYA」、日本酒は「SAKE」と呼ばれて女性や若者の心をとらえた。

財務省の統計によると、韓国向け日本酒輸出は2007年の1069キロリットル、4億6500万円から3年後の2010年には2590キロリットル、11億6500万円へと大幅に拡大している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ナワリヌイ氏殺害、プーチン氏は命じず 米当局分析=

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「気持ち悪い」「恥ずかしい...」ジェニファー・ロペ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中