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今度こそ宇宙へ―堀江貴文氏が出資する宇宙ベンチャー、ロケット打ち上げ迫る

2018年4月17日(火)15時00分
鳥嶋真也

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MOMOロケット2号機の想像図 (C) インターステラテクノロジズ

ISTがロケットを開発する理由と強み

ISTではMOMOと並行し、数kgほどの超小型の人工衛星を打ち上げられるロケット「ZERO」の開発も進んでいる。

ISTがこうしたロケット開発に挑んでいる背景には、宇宙をもっと身近に、もっと気軽な場所にするという目的がある。

たとえば、近年電子部品の小型化が進んだおかげで、超小型の衛星は造れるようになった。しかし、それを打ち上げるには億単位の資金が必要だったり、さらに打ち上げできる機会も限られていたりと、自由に宇宙へ飛ばすことすら叶わない、"文はやりたし書く手は持たぬ"状況にある。

そこで同社は、小型で低価格なロケットを開発し、超小型衛星を打ち上げやすくすると共に、ゆくゆくは、誰もが手軽に宇宙を利用できる世界を創り出そうとしている。

低価格が実現できる秘密は、同社のロケットが「世界一性能が低い」というところにある。

これまでのロケットは最先端の技術や材料を使い、とにかく高性能を目指して造られていた。しかし、ただ超小型衛星を飛ばすだけなら、それほど高い性能は必要ない。使い古された技術や、その辺で手に入る民生品を組み合わせるだけでロケットは造れるし、むしろ造りやすいため内製化も進む。その分コストは安くなり、大量生産すればコストはさらに下がる。

こうした背景から、ISTはよく、従来のロケットと自分たちのロケットの違いを、"スポーツカーとスーパーカブのようなもの"とたとえる。

昨年7月に打ち上げられたMOMOロケット1号機。残念ながら宇宙空間には到達できなかったが、多くの貴重なデータが得られた (C) インターステラテクノロジズ .
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