最新記事

弾劾

共和党はなぜトランプを見限らないのか

2017年5月17日(水)21時15分
マックス・ブート (外交問題評議会シニアフェロー、国家安全保障が専門)

コミー解任を黙認している共和党議員は、どうせトランプの思惑通りにはいかない、と言う。トランプはコミーの後任にロシアとトランプ陣営連携疑惑の捜査を葬り去るような人物を充てる可能性が高いが、それでも捜査は進展すると余裕を見せる。

だがそんな見通しは甘すぎる。コミーの電撃解任後、司法省やFBIは、この捜査を続ければいつクビにされるか分からないと戦々恐々だ。FBIを監督するジェフ・セッションズ司法長官も、いざとなれば粛清をためらわないことがはっきりした。

無所属のジェームズ・クラッパー前国家情報長官は、米政府内で今何が起きているかをいちばん客観視できている一人だ。クラッパーは日曜に米CNNの番組に出演し、トランプ政権下で「政府組織が内側から猛攻撃を受けている」と警告した。

来年の中間選挙待ちか

だが共和党議員は耳も目も口も塞いだまま、無視を決め込んでいる。なかには法の支配がじわじわと傷つけられるのを横目に、トランプのチアリーダーになり声援を送る者までいる。

ジャーナリストのファリード・ザカリアは、共和党議員たちのふがいなさをこき下ろした。「共和党は伝統ある西側の政党に似ても似つかなくなりつつある。むしろ発展途上国によくある政党のようだ。為政者とその一族のエゴや欲望、利益を満たす道具になり下がった」

共和党議員にトランプの司法妨害を追及する気がないとすれば、あとは2018年の中間選挙を待つしかない。

【参考記事】トランプ降ろし第3のシナリオは、副大統領によるクーデター

2008年の米大統領選で共和党候補だったジョン・マケイン上院議員を支えた側近マーク・ソルターはツイッターにこう投稿した。「こんなことを言う日が来るとは思わなかったが、アメリカの国家安全保障の命運は、2018年に民主党が勝利することにかかっている」 

From Foreign Policy Magazine


【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!

毎日配信のHTMLメールとしてリニューアルしました。

リニューアル記念として、メルマガ限定のオリジナル記事を毎日平日アップ(~5/19)

ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか

ワールド

北朝鮮の金総書記、核戦力増強を指示 戦術誘導弾の実

ビジネス

アングル:中国の住宅買い換えキャンペーン、中古物件
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 9

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 10

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中