最新記事

起業

起業の成功に必要なもの...資金・コネ・知識・経験より大事な4箇条

Starting Your Own Business

2021年9月24日(金)18時01分
キャラ・ゴールディン(ヒント創業者・CEO)

当然ながら自信はなかった。それでも自分のアイデアを実現するには、不安と向き合いつつ一歩を踏み出すしかない。最初から大きな構想を描くのではなく、目の前の課題を1つずつクリアしていった。

まずはキッチンで自分が作った飲み物をどうボトル詰めするか。そして、それを地元の店に置いてもらうにはどうすればいいか。

地元の店で手応えを感じたら、次はもっと多く消費者に買ってもらえるよう販路を広げる方法を探り、オンライン通販も始めることになる。そうやって一歩一歩地固めしていくうちに自信が付いて、不安や迷いは消えた。

とはいえ、克服すべきは自分の不安だけではない。会社を起こすと言えば、周囲は心配する。私も家族や友人にいろいろ言われた。特に最初のうちは自分も自信がないため周囲の意見に振り回されがちだ。そこで、言われたことを整理して役に立つアドバイスだけ採用することにした。

周囲の人はあなたがリスクを冒し失敗することを心配しているのだ。でも忘れないで。成功する起業家の条件は、リスクを恐れず挑戦する能力だ。

210928p58_ob02.jpg

「体に良いドリンクが欲しい」というひらめきから飲料ブランドを築いたゴールディン COURTESY OF KARA GOLDIN

とことん消費者目線で

サービス業であれ小売業であれ、ビジネスを成長させるカギは消費者を知ることにある。消費者が何を必要としているのか、何が彼らを動かすのかを理解しよう。

優秀な起業家は、常に消費者を見ている。私はスーパーのドリンク売り場を何時間も回っては買い物客と話をし、カスタマーサービスに届いたメールに目を通す。消費者目線で物事を見たいなら、彼らとの対話は欠かせない。

ヒントのフレーバーウオーターを発売した直後、1人の男性からメールが届いた。ヒントを飲んで気に入った彼は、興奮冷めやらぬまま容器に記載されたカスタマーサービスのアドレスにメールをくれたのだ。当時のヒントは零細企業だったから、こうしたメールも経営者の私が全て読んでいた。

男性は2型糖尿病を抱えており、甘味料無添加でしかもおいしいドリンクを探していた。ほかに病気はなく、人工甘味料が糖尿病の引き金になったと考えていた。

米疾病対策センター(CDC)は現在、アメリカ人の40〜45%が2型糖尿病かその予備軍だとしているが、05年当時、2型糖尿病を自覚していた患者は1・5%ほどだった。

男性とのやりとりから、私はひらめいた。私が開発したフレーバーウオーターは、慢性疾患に悩む人の助けになれるかもしれない──。

製品がどんな問題の解決に役立つのかを知ることは、非常に重要。製品に関心がある人々とのコミュニケーション手段を確保するのも大切だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 8

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中