最新記事

会議

なぜ議論を「グラフィック化」すると、ヒラメキ溢れる会議になるのか?

2021年9月8日(水)06時25分
flier編集部

違いがあるのは喜ばしいことで新しい発想の源泉にもなる。ところが、いざ会議となると、みんなと同じ振る舞いを求める圧力が働いていることはありませんか? 異なる意見が不安要素として扱われてしまうとか。

企業の会議は同じ志のもとに集まっているメンバーとの作戦会議。ため息をついてやり過ごすのではなく、もっとワクワクしながら違いを表現し、新たな発見をし合う場になってもいいはず。だからこそグラフィックファシリテーションは、表面的な対立の背景にある感情や価値観などを引き出し、違いの「見える化」をめざしています。

「空気を読む」会議から「絵で共有し合う」会議へ

── 日本企業でもグラフィックファシリテーションが注目されるようになった背景は何ですか。

背景の1つは、これまでの「わざわざ言葉にしない美学」が職場で通用しづらくなったことです。日本企業でもグローバリゼーションが進み、多種多様なバックグラウンドをもった人と一緒に働く機会が増えてきました。そしてイノベーションを生むためにも人材の多様性を確保しようという声も浸透しつつあります。

ところが、島国で同質性が比較的高い日本には、ハイコンテクストな文化が根づいています。「察する」とか「空気を読む」ことがよしとされてきた。かわりに、言語化できないニュアンスを、眉の動きや声色などのちょっとした変化から汲み取ってきたわけです。でも、それでは、ローコンテクストな文化の人たちとなかなか合意形成がとれません。そこで、言語化できないものを「絵」にして共有しやすくしよう、という動きが高まってきたのだと思います。

── そうした動きがあったのですね。グラフィックファシリテーションがもたらす効果とはどのようなものですか。『恐れのない組織』で提唱されている心理的安全性の向上にもつながるように思いました。

そうですね、心理的安全性を高めることにもつながると思います。グラフィックファシリテーションによって、少数派の「小さな声」に光を当てやすくなるからです。

会議の場では、「何を発言したか」より、「誰が発言したか」が優先されてしまうことがしばしば。影響力のある人の「大きな声」に乗っかっていくと速く結論にたどり着くものの、聞き入れられなかった声があると、後になってこじれてしまう。だから話し合いの最中に、「小さな声」をどれだけ拾って、それに耳を傾けられるかがカギとなります。絵で「何を発言したか」を可視化すると、そこにフォーカスして対話を深めやすくなる。そうすれば参加者は内なる声を発しやすくなるし、「聞いてもらえた」という実感があると、決まったことに対して後々意欲的にとりくめるんですよね。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドル156円台へ急上昇、日銀会合後に円安加速 34

ビジネス

日銀、政策金利の据え置き決定 国債買い入れも3月会

ワールド

米、ネット中立性規則が復活 平等なアクセス提供義務

ワールド

ガザ北部「飢餓が迫っている」、国連が支援物資の搬入
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中