最新記事

経営

取引先から切られる?  SDGsが中小企業にとって重要になる理由

2021年9月9日(木)11時30分
矢萩大輔 ※経営ノウハウの泉より転載
リサイクル工場

AzmanJaka-iStock.

<SDGsは大企業だけに関わるものではない。中小企業もCSR調達を意識しなければならなくなってきており、また、SDGsはビジネスの棚卸を助けてくれるツールにもなる>

持続可能な社会を実現するために作られた、世界共通の開発目標"SDGs"。

SDGsとは、"Sustainable Development Goals"の略で、2015年に国連で採択されてから数年が経った今、社会は確実にSDGsの実現のために動き始めています。その潮流に乗ることは、中小企業にとってはビジネスチャンスにもなるでしょう。

一方で、SDGsを意識しない経営は、就活生や顧客から選ばれない会社になるというリスクをはらんでいます。本記事では、書籍『やるべきことがすぐわかる! SDGs実践入門 ~中小企業経営者&担当者が知っておくべき85の原則』を参考に、SDGsの実践方法について提案します。

SDGsとは何か?

改めて、SDGsの定義について確認しましょう。SDGsとは持続可能な社会を実現するために、2015年に国連で採択され、2016年から2030年までの15年間で実現を目指す世界共通の国際目標です。先進国を含めて、より広範な社会問題や環境問題の解決をゴールにしています。

世界は飢餓や人権侵害、経済格差、気候変動にともなう自然災害など、さまざまな問題に直面しています。これらの問題は私たちの社会やビジネスを脅かしています。SDGsは、「誰ひとり取り残さない」という基本理念のもとに、持続可能な社会を実現するために、17の目標と、目標を実現するための169のターゲット、取り組みを評価するための244の指標が設定されています。

SDGsが生まれた背景には、ESG問題があります。ESG問題とは、環境問題(Environment)、社会問題(Social)、組織統治問題(Governance)の頭文字をとったものです。例えば、自然災害や資源の枯渇を始めとする環境問題は、事業拠点の被災や資源価格の高騰といった形での成長を脅かします。

また、社会問題は、購買力の低下や市場の縮小などを表します。組織統治問題は、法的規制の強化といった形で企業の自由を脅かします。これらは、ビジネスの制約になるとともに、私たちが暮らす社会の持続可能性も脅かすリスクを含んでいるのです。このESG問題を具体化して17のテーマとして表現したのがSDGsの目標ということになります。

ESG問題は社会の困ったことを、環境、社会性、組織統治という3つの視点から捉えています。みんなの「困った」の集合体ですから、ビジネスの観点から見ればニーズの固まりです。この課題解決に取り組むことで、企業はソーシャルビジネスを推進できるとともに、新しいビジネスの種になるメリットも秘めています。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ロシア、ウクライナで化学兵器使用 禁止条約に違反=

ビジネス

ドル一時153円まで4円超下落、再び介入観測 日本

ワールド

米、新たな対ロシア制裁発表 中国企業を狙い撃ち

ビジネス

米地銀NYCB、向こう2年の利益見通しが予想大幅に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中