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ポストコロナを生き抜く 日本への提言

スマホは使うがパソコンは苦手──コロナ禍で露呈した日本の労働力の弱点

BEHIND THE LOW PRODUCTIVITY

2020年4月28日(火)18時10分
マルガリータ・エステベス・アベ(米シラキュース大学准教授)

欧米の大学よりもずっと準備期間があったはずの日本で、なぜ多くの大学が新学期を遅らせる必要があったのか? 自宅にインターネット環境がない学生がいる、コロナ騒ぎで外国人留学生が4月初旬までに入国できないなどの理由が挙げられたが、一方で、東京大学は暦どおり4月からオンライン授業を開始した。

IT化の遅れの元凶は、日本の政治と組織にあるのではないか。政府は既得権益には優しいが、一般国民全員に利益がある教育機関のIT化投資を長らく怠ってきた。民間組織も、初期投資が大きく、年功序列のヒエラルキーをひっくり返してしまうIT化になかなか踏み切れないのだろう。日本の「ハンコ文化」が典型的だ。

日本の超高齢化社会を持続可能にするためには、労働生産性の向上は不可欠だ。今回の危機が日本の大学や企業にとってショック療法となり、日本のIT化に弾みをつける契機になることを期待している。

<2020年5月5日/12日号「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集より>

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2020年5月5日/12日号(4月28日発売)は「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集。パックン、ロバート キャンベル、アレックス・カー、リチャード・クー、フローラン・ダバディら14人の外国人識者が示す、コロナ禍で見えてきた日本の長所と短所、進むべき道。

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