コラム

党員・都民として言う、民進党と小池さんには失望している

2017年10月19日(木)12時45分

「鉄娘子」とは思えない小池都知事の中途半端さが残念

民進党が衰退したとして、希望の党が新たな最大野党として日本政界を支えてくれるのだろうか。私にはそうした展望は持てない。かつて本コラムでも告白したことがあるが、私は小池百合子都知事が大好きだ。女性としても好みのタイプだが(笑)、それ以上にまさに「鉄娘子」(中国語で、鋼の精神力を持つ強い女性の意)と呼ぶにふさわしい、どんな荒波にも負けない強靱な胆力、機を見るに敏な行動力を高く評価していた。

それでも今回、何の成果も出せないまま都政を投げ捨てようとしたのには失望した。私だけではない。小池都知事に期待した全ての都民が失望感を味わっているだろう。私の息子はまだ10歳なのだが、選挙のニュースを見ていて突然、「都民ファーストの約束はどうしたの! ふざけるな!」とテレビに向かって怒りだした。小学生ですら小池都知事の不義理は理解できるのだ。

そして、選挙のムードを一変させた、あの「排除します」発言。野合がよろしくないのは当然だ。そうした原理原則に従うのならば、選挙直前になって民進党との事実上の合併など最初から拒否するべきだ。あるいは理念には目をつぶって、機会主義者として総選挙での勝利を目指すならば、清濁併せ吞む度量を見せ、民進党全てを飲み込めばよかった。小池百合子らしからぬ、「鉄娘子」とは思えない中途半端さが残念でならない。

なお、私も小池都知事に「排除」された1人であることを申し添えておく。2016年末、小池都知事はいわゆる「小池塾」を開講した。私も政治家を志す者として、小池都知事の授業を受けたいと思い申し込んだが、残念ながら塾生には選ばれなかった。公式には落選理由は明かされないのだが、後になって人づてに、小池都知事の秘書が「元中国人の方は無理です」と言っていたと聞いた。

私の実力が足りないからダメだというならば素直に納得するが、間もなく五輪を開催する国際都市・東京のトップが、元中国人は「排除」するという差別的判断をするとは信じがたいほどのセンスのなさだ。

あるいは私を「排除」した時点で、希望の党の敗勢はすでに決まっていたのかもしれない。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
 ご登録(無料)はこちらから=>>

プロフィール

李小牧(り・こまき)

新宿案内人
1960年、中国湖南省長沙市生まれ。バレエダンサー、文芸紙記者、貿易会社員などを経て、88年に私費留学生として来日。東京モード学園に通うかたわら新宿・歌舞伎町に魅せられ、「歌舞伎町案内人」として活動を始める。2002年、その体験をつづった『歌舞伎町案内人』(角川書店)がベストセラーとなり、以後、日中両国で著作活動を行う。2007年、故郷の味・湖南料理を提供するレストラン《湖南菜館》を歌舞伎町にオープン。2014年6月に日本への帰化を申請し、翌2015年2月、日本国籍を取得。同年4月の新宿区議会議員選挙に初出馬し、落選した。『歌舞伎町案内人365日』(朝日新聞出版)、『歌舞伎町案内人の恋』(河出書房新社)、『微博の衝撃』(共著、CCCメディアハウス)など著書多数。政界挑戦の経緯は、『元・中国人、日本で政治家をめざす』(CCCメディアハウス)にまとめた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン氏「6歳児と戦っている」、大統領選巡りトラ

ワールド

焦点:認知症薬レカネマブ、米で普及進まず 医師に「

ワールド

ナワリヌイ氏殺害、プーチン氏は命じず 米当局分析=

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story