コラム

日本が韓国の新型コロナウイルス対策から学べること ──(3)情報公開

2020年04月21日(火)13時40分

感染者や自己隔離者の移動経路などの公開については、一部のマスコミなどからプライバシーを侵害するものであるという批判の声が上がったものの、国民の多くは情報公開についてある程度納得している様子である。これは、韓国の感染拡大の原因が新興宗教団体によるものであったことがその主な理由である可能性がある。韓国政府は個人情報公開については反対する意見を一部受け入れ、3月13日に「感染者情報公開ガイドライン」を修正し、感染者と接触した人が行った?場所、日時、移動手段は公開するものの、住所や職場名は公開しないようにした。但し、職場で多くの人が感染された場合には時間や場所を特定して公開する。

前々回前回のコラムでも説明した通りに、韓国政府は積極的な検査や隔離、そして迅速な情報公開を中心に、新型コロナウイルスの拡大を防止するための対策を実施している。その結果、感染経路が不明な人の割合は最近2.8%まで低下し(4月12日韓国政府報道資料)、4月19日の新たな感染者数は13人まで減少した。このような新型コロナウイルスに対する一連の対策や結果が評価されたのか、4月15日に行われた総選挙で文在寅政権を支える与党「共に民主党」など新文在寅大統領を支持する勢力が300議席のうち、過半数を上回る180議席を獲得し、圧勝した。

本文で紹介した韓国の感染者数や感染者に関する情報提供対策が日本政府の今後の対策に少しでも参考になり、感染者の拡大防止や感染経路の把握に貢献できれば幸いである。

【参考記事】日本が韓国の新型コロナウイルス対策から学べること──(1)検査体制
【参考記事】日本が韓国の新型コロナウイルス対策から学べること──(2)マスク対策

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プロフィール

金 明中

1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所客員研究員、日本女子大学人間社会学部・大学院人間社会研究科非常勤講師を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、日・韓社会政策比較分析。近著に『韓国における社会政策のあり方』(旬報社)がある

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