コラム

部下を急成長させる「ホメジメント」の技術

2018年12月25日(火)17時00分

褒められるという「社会的報酬」によって部下のやる気が生まれることは「動機付け要因」によって理解できます。それでは「褒める」側の動機付けはどうでしょうか?

プランを作り、ホメジメントサイクルをまわしていけばわかりますが、部下を「褒める」動機付けがないと、褒めようにも褒められないのです。

「すごいね」「さすがだね」「すばらしいね」と上司だって言いたい。しかし褒める習慣がない上司たちは、部下がどういうことをしたときに褒めたらいいのかさえわからないものです。

それに「褒める」というのは、何らかの優れた行いに対して評価し、称えることです。褒める相手が何かをした後でなければ、褒めたくても褒めようがありません。

つまり、「褒める」側の期待する行動があり、部下がその行動をとる前にではなく、その行動をとった後でしか褒めようがない。

「君、これから私の期待通りの成果を出してくれるんだよね? すごいね、さすがだね、すばらしいね」

などと褒めたら、相手は未来の行いを上司から強要されたと感じ、良い気分はしないでしょう。

また、それが本当に「褒める」に値する出来事なのか、ということも重要なファクターです。

「君、最近、資料の提出期限を守るようになってきたね。すごいね、さすがだね、すばらしいね」

などと言って部下を褒めたらどうでしょうか? 期限を守って資料を提出しただけで「すばらしい」などと褒められたら、何だか嫌味に聞こえはしないでしょうか? ホメジメントを意識すると、こういう発見があるのです。

「褒める」のも、相手の行い次第である

まとめると、正しく褒めるためには、部下の行為に以下2点が伴っていることが条件です。

・ 評価・賞賛すべき行いであること

・ 評価・賞賛すべき行いがすでに終わっていること

己に厳しい人は、「評価・賞賛すべき行い」の基準がとても高いかもしれません。その場合はハードルを少し下げて、部下が何か変わろうと努力していることがあれば、積極的に褒めてみましょう。

しかし、ハードルを下げても評価・賞賛すべきことがない。何も変わろうとしない。兆候すら見せない、という部下を褒めることはやめます。部下が間違った認識をしてしまう、という副作用もあるからです。

「あるべき姿」と「現状」とのギャップを正しく認識させることも上司、リーダーの役目です。そういうケースでは褒めるのではなく、リードすべきです。「あるべき姿とのギャップを埋めていこう」とリードし、その差が縮まってきたら、部下の行いを褒めると良いでしょう。

このコラムの名称は「ハードワーク思考」です。やはり部下がハードワークしたときにこそ褒めるべきです。

まず褒める習慣を身につけたあと、正しく褒められているかもチェックする。「ホメジメント」の精度が上がっていけば、部下は気持ちよく成長していくことでしょう。

プロフィール

横山信弘

アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。全国でネット中継するモンスター朝会「絶対達成社長の会」発起人。「横山信弘のメルマガ草創花伝」は3.5万人の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『営業目標を絶対達成する』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者。著書はすべて、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。最新刊は『自分を強くする』。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動

ビジネス

必要なら利上げも、インフレは今年改善なく=ボウマン

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story