コラム

外していいよと言っても、外さない小学生。日本人はマスクをずっと着け続けるのか

2022年12月15日(木)19時35分
周 来友(しゅう・らいゆう)(経営者、ジャーナリスト)

先日、2020年夏にピーチ航空の機内でマスクの着用を拒否し、挙げ句の果てに客室乗務員を負傷させ、運航を妨害したなどの罪で起訴された男性を取材した(編集部注:男性は12月14日、大阪地裁で懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を言い渡された)。

ぜんそくの持病により長時間マスクを着けていられなかったと弁明したが、乗務員を負傷させていい理由にはならないだろう。しかし、「法で禁じられてもいないのに企業が排除するのはおかしい」というその主張には一理あるとも感じた。

私自身は慎重派なので、今すぐ欧米のようなノーマスク社会にしろと言うつもりはない。もちろん、中国式ゼロコロナを望んでいるわけでもない。

子供を自転車に乗せて保育園まで送っていくときはマスクを外し、保育園に入るときにマスクを着ける、そんな「常識的」な人間だ。われながら「日本人的」だなとも思う。

確かに人それぞれ健康の度合いは異なるわけで、マスク着用の是非は難しい問題だ。とはいえ、マスクを着ける必要のない場面も少なくないように思う。

そう考えるとやはり、徐々にでも「風邪の症状があればマスクをする」程度のモラルに基づいたノーマスク社会に戻していくべきではないだろうか。

そのためには、日本政府が責任を持って明確な政策を打ち出すとともに、国民にとって納得のいく科学的根拠を示し、広報する必要があるだろう。

そうしなければ、結局は同調圧力でマスクの着脱を決めることになりかねない。いずれにしても、これから先もずっと日本ではマスクを着け続けなければならないとしたら、それは異常事態だ。

そうは言っても、年が明けてしばらくすれば今度は花粉の季節。日本人は結局マスクを着け続けるのかもしれない。

さて、皆さんのお考えやいかに。


Zhou_Profile.jpg周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院修了。通訳・翻訳の派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレント、YouTuber(番組名「周来友の人生相談バカ一代」)としても活動。


20240514issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月14日号(5月8日発売)は「岸田のホンネ」特集。金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口……岸田文雄首相が本誌単独取材で語った「転換点の日本」

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


プロフィール

外国人リレーコラム

・石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
・西村カリン(ジャーナリスト)
・周 来友(ジャーナリスト・タレント)
・李 娜兀(国際交流コーディネーター・通訳)
・トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
・ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:中国農村住民の過酷な老後、わずかな年金で死ぬ

ワールド

アングル:殺人や恐喝は時代遅れ、知能犯罪に転向する

ワールド

ロシアとの戦争、2カ月以内に重大局面 ウクライナ司

ビジネス

中国CPI、3月は0.3%上昇 3カ月連続プラスで
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの文化」をジョージア人と分かち合った日

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ウクライナの水上攻撃ドローン「マグラV5」がロシア…

  • 6

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 7

    「未来の女王」ベルギー・エリザベート王女がハーバー…

  • 8

    「私は妊娠した」ヤリたいだけの男もたくさんいる「…

  • 9

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 8

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story