最新記事
中東

イランがイスラエル領を史上初めて直接攻撃、「ドローンとミサイル発射」イラン革命防衛隊も発表...中東緊迫化、安保理開催へ

2024年4月14日(日)12時45分
イラン

イラン革命防衛隊は13日、イスラエルの特定の標的に対して数十の無人機(ドローン)とミサイルを発射したと発表した。イラン国営メディアが革命防衛隊の声明を伝えた。ダマスカスで8日撮影(2024年 ロイター/Firas Makdesi)

イラン革命防衛隊は13日、イスラエルの特定の標的に対して無人機(ドローン)とミサイルを発射したと発表した。イラン国営メディアが革命防衛隊の声明を伝えた。バイデン米大統領は、イスラエルと「揺るぎない」連帯を表明した。

シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館周辺がイスラエルによるとみられる攻撃を受けたことを巡り、イランは報復を行うと表明していた。

イランがイスラエル領を直接攻撃するのは初めてで、中東情勢が一段と不安定になる可能性がある。イスラエルとイランは長年対立を続けているが、これまでは代理勢力を介した紛争や、第三国にある互いの標的への攻撃にとどまっていた。

国連のグテーレス事務総長はイランの攻撃を非難し、「壊滅的な事態悪化の非常に現実的な危険性について強く警戒している」と述べた。

イスラエルは、国連安全保障理事会(安保理)に緊急会合の開催を要請。米東部時間14日午後4時(日本時間15日午前5時)に設定された。

イスラエル軍のハガリ報道官は14日未明、イランが13日からイスラエルに向けて200余りのドローンやミサイルを発射したと述べた。数十発の地対地ミサイルの一部が着弾し、女児が負傷したほか、南部の軍事施設が若干の損傷を受けたと述べた。

ネタニヤフ首相は攻撃開始の発表を受け、テルアビブの軍司令部で戦時特別内閣を招集した。

イスラエル軍は、北部のゴラン高原、ネバティム、ディモナ、エイラートがイランのドローンの標的になる可能性があるとして住民にシェルターへ避難する準備を指示したが、その後、攻撃の脅威がいったん収束したもようだとして、避難準備指示を解除した。

<米大統領、イスラエルと「揺るぎない」連帯>

バイデン大統領は攻撃の報を受け、イスラエルとの連帯を改めて強調するとともに、国家安全保障チームと会議を開いた。「攻撃に関する最新情報を得るため国家安全保障チームと会談したところだ。イランとその代理勢力がもたらす脅威に対するイスラエルの安全保障への米国のコミットメントは揺るぎない」とXに投稿した。

会議にはブリンケン国務長官、オースティン国防長官、バーンズ中央情報局(CIA)長官、ヘインズ国家情報長官、サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)らが出席した。

バイデン大統領は12日、イランが「間もなく」イスラエルを攻撃する可能性があるとし、自制するよう警告していた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 3

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの過激衣装にネット騒然

  • 4

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 5

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 6

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 7

    「すごく恥ずかしい...」オリヴィア・ロドリゴ、ライ…

  • 8

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 9

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 10

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中