最新記事

韓国

韓国の「盗撮」が国際的な問題に。公衆トイレ、宿泊施設で隠しカメラが流行

2023年7月19日(水)17時45分
佐々木和義
盗撮

韓国で公衆トイレや女子更衣室で隠しカメラが流行している...... Danny Rayes-YouTube

<韓国に旅行したとみられる外国人が、韓国の公衆トイレは、トイレットペーパーの小さな隙間にカメラが隠されている可能性があると「TikTok」に投稿し話題になった......>

韓国で「盗撮」が大きな問題となっている。7月4日、ソウル市麻浦区で女子トイレを盗撮した20代の男性が逮捕された。商業ビルの女子トイレで盗撮をしていた男性が2人の女性に目撃されて逃走。「盗撮犯が逃げた」という女性の声を聞きつけた飲食店の従業員が400メートルほど追いかけて捕まえた容疑者を警察に引き渡した。

 
 
 
 

2月には仁川南洞警察署が、モーテルなどの宿泊施設に隠しカメラを設置した容疑で30代の男性を逮捕した。1月中旬から2月中旬にかけ、ソウル市、仁川市、釜山市、大邱市の宿泊施設14か所の客室に20台のカメラを設置して宿泊客数百人を盗撮した疑いだ。ルーターに偽装したカメラをテレビの棚やエアコンの上にベッドの方向に向けて設置していたという。仁川市南洞区にあるホテルの客室清掃中にカメラを発見した従業員の通報を受けた警察が監視カメラの映像から容疑者を特定した。

また、3月には、韓国に旅行したとみられる外国人が、韓国の公衆トイレは、トイレットペーパーの小さな隙間にカメラが隠されている可能性があると「TikTok」に投稿し、4月にもある外国人が「韓国旅行を準備する際『隠しカメラ探知機』が必要」とツイートして話題になった。

「公衆トイレや女子更衣室で隠しカメラが流行している」

野党共に民主党議員が全国の警察から取り寄せた資料を集計したところ、2017年から2022年の違法撮影の通報が3万9957件に上っていたという。1日平均18件である。

韓国の盗撮は国際的な問題にもなっている。21年10月、シンガポールで実刑判決を受けた盗撮犯は韓国軍の将校だった。それに先立つ21年7月、国際人権団体「ヒューマンライツウォッチ(HRW)」女性管理局のディレクターが、「公衆トイレや女子更衣室で隠しカメラが流行しているのは韓国が世界唯一だ。その動画を販売する市場が形成されている国も韓国しか知らない」と述べている。

また、英国などの海外メディアなどが隠しカメラを「molka」と表記するという。韓国語でこっそりを意味する「Mollae」と「Camera」の頭文字を合わせた造語で「盗撮」を意味する韓国語の「モルカ」が、いまや英語でも使われているのだ。

監視カメラも至るところに設置されている

モルカと同様、監視カメラも至るところに設置されている。仁川南洞警察がモーテルに隠しカメラを設置した容疑者を監視カメラで特定したのと同様、監視カメラで容疑者を特定した例は少なくない。

今年4月4日、忠清南道天安市のチキン店で10人のグループ客が約26万ウォン(約2万8600円)の飲食をした後、代金を支払わずに逃走した。一部はトイレに行くといい、一部はタバコを吸うといって店外に出てそのまま逃走。警察は店内に設置された監視カメラの映像から容疑者の1人を特定した。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

豪中銀、4会合連続で金利据え置き 総裁はハト派発言

ビジネス

植田日銀総裁が官邸入り、岸田首相と意見交換=報道

ビジネス

独輸出、3月は予想上回る前月比+0.9% 鉱工業受

ビジネス

任天堂、今期中にスイッチ後継機種を発表へ 営業益は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 7

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中