最新記事

サイバー戦争

ロシア「6.5万人からDDos攻撃受けている」主張、米ロ・サイバー戦が深化

CYBER CONFLICT RISKS

2022年9月21日(水)16時55分
トム・オコナー(本誌外交問題担当)
プーチン

SOURCE ILLUSTRATION BY TPYXA_ILLUSTRATION/SHUTTERSTOCK (PUTIN), PHOTO ILLUSTRATION BY YASUSHI MITSUIーNEWSWEEK JAPAN

<サイバー攻撃を認めたアメリカにロシアが警告。「リアル」な対立の激化につながりかねない>

※2022年9月27日号(9月20日発売)は「ウクライナ サイバー戦争」特集。ロシア大苦戦の裏に、世界が知らないもう1つの戦場が......。西側ハッカー連合vs.ロシア軍の攻防を描く。

―――

ロシア政府で情報セキュリティーを担当する高官が、アメリカとのサイバー空間での対立が深まれば「リアル」な対立の激化につながりかねないと警告している。サイバー空間での相手国からの挑発には断固とした姿勢を取ると、米ロ両国とも言明しているためだという。

米ロは以前から、相手国に対する悪意あるサイバー攻撃はしていないと言っていた。ところが、今年6月に雲行きが変わる。米軍のサイバー戦を統括するサイバー軍司令部のポール・ナカソネ司令官が、英スカイニュースとのインタビューで、ウクライナを支援するために「あらゆる分野で一連のサイバー作戦」を行っていたことを認めたのだ。

この発言にロシアはすぐに応戦した。大統領特別代表(情報セキュリティー国際協力担当)のアンドレイ・クルツキフはロシア紙コメルサントのインタビューで、アメリカは「ロシアとその同盟国に、サイバー攻撃で脅威をまき散らしている」と語った。

クルツキフは、米バイデン政権によるウクライナへの軍事支援は明らかに国際法に違反していると主張。「国家機関や重要なインフラ、国民や国内在住外国人の個人データが打撃を受けている」と、彼は語った。

「現在の事態を生んだ責任は、アメリカとウクライナにある」

プーチンの提案も実らずに

クルツキフはその証拠として、ロシアを標的にした「分散型サービス妨害(DDoS)」がアメリカやドイツのサーバーを拠点に行われていると指摘。彼によれば5月の時点で「アメリカやトルコ、ジョージア(グルジア)、EU諸国から6万5000人超の『ボランティアハッカー』が重要なインフラへの組織的なDDoS攻撃に頻繁に参加していた」という。

「全部で22のハッカー集団が違法行為を行っている」と、クルツキフは述べた。

さらにクルツキフは、アメリカがロシアを攻撃するために規制を緩和して「情報通信技術をあえて攻撃に利用しやすい状態にしているのではないか」と語った。このままでは2大核大国である米ロ間に衝突が起きかねないと、彼は警告した。

米政府はウクライナと欧州の同盟国へのサイバー支援を認めているが、詳細は明らかにしていない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

パリのソルボンヌ大学でガザ抗議活動、警察が排除 キ

ビジネス

日銀が利上げなら「かなり深刻」な景気後退=元IMF

ビジネス

独CPI、4月は2.4%上昇に加速 コア・サービス

ワールド

米英外相、ハマスにガザ停戦案合意呼びかけ 「正しい
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    ナワリヌイ暗殺は「プーチンの命令ではなかった」米…

  • 10

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中