最新記事

北京五輪

北京五輪ジャンプ台の横に原発?「地獄のような光景」でも選手が文句を言わない理由

Beijing's Industrial Wasteland Setting for Winter Olympics Horrifies Viewers

2022年2月14日(月)16時02分
レベッカ・フラッド

ディストピア的?なビッグエアの会場 Fabrizio Bensch-REUTERS

<オリンピック会場とは思えない立地にネット民は騒然。だが、こうなったのには深い理由があった>

北京冬季オリンピックのある競技会場が、ネット上で「地獄の光景」に例えられ、話題になっている。スキーのジャンプ台が、製鉄所の跡地を転用した遊園地「首鋼パーク」内に建てられているのだ。

北京では第24回冬季オリンピックが開催されている。北京の西部にあるフリースタイルスキーやスケートボードのジャンプ台がある競技会場「ビッグエア首鋼」で競技が始まると、SNS上で会場の異様な光景に驚きの声があがった。

溶鉱炉や煙突、冷却塔など、製鋼所などの古くシュールな施設を背景に、とてつもなく大きく人目を引く高さ64メートル、長さ164メートルのジャンプ台が聳え立っている。

男女フリースタイルスキー・ビッグエア種目の予選に参加した選手たちは、ジャンプ台の背後の北京オリンピックのロゴが刻まれた冷却塔を背景に写真を撮った。

ツイッターでこの会場の写真を共有した@LeaMaricは、「地獄のような光景」とコメントした。2月7日に投稿されたこのツイートは3万回以上「いいね!」がつき、他のユーザーも同じような意見をつぶやいた。


ユーザーのリンゼーは「ビッグエアの試合の背景に核施設のようなものがあるなんて、ディストピア的だ」と投稿。

選手には意外に好評

「オリンピックのビッグエア種目の競技場は、スプリングフィールド原子力発電所のすぐ隣にあるらしい」というジョークを投稿したのはジョン・ロベット。スプリングフィールド原子力発電所とは、テレビアニメの『ザ・シンプソンズ』に登場する架空の原子力発電所だ。

「北京のどこを探してもビッグエアの競技場に適した場所が見つからないから、発電所のどまんなかに建てたんだな。中国っておしゃれだね(大笑い)」というコメントもあった。

「どんなビッグエア会場にするかを話し合ったとき、主催者は『スリーマイル島(アメリカの原子力発電所)の日の出をイメージしよう』と言ったのかな?」とマイケルはからかった。

とはいえ、誰もがこのジャンプ台を気に入らなかったわけではない。ビル・トンプソンはこうコメントした。「2週間後には使われなくなる仮設のジャンプ台を作るために、家や森を壊すよりいいじゃないか」

選手たちもこの会場については好意的だった。中国代表として参加しているアメリカ生まれのフリースタイルスキー選手アイリーン・グーは言う。「この会場はとっても素敵。だって、ジャンプ台以外は、どこを見ても雪がない」

「ここで滑っていると、なぜか氷河の上にいるような気分になる」。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

為替、従来より物価に影響しやすいリスクを意識=植田

ビジネス

テスラ、独工場操業を1日停止 地元は工場拡張に反対

ワールド

イランとの核問題協議、IAEA事務局長が早期合意に

ワールド

インド総選挙、3回目の投票実施 モディ首相の出身地
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    デモを強制排除した米名門コロンビア大学の無分別...…

  • 6

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    中国軍機がオーストラリア軍ヘリを妨害 豪国防相「…

  • 10

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中