最新記事

異常気象

テキサス州に異常寒波、寒さのあまり樹木が爆発

It's So Cold in Texas That Trees Are Exploding, Sounding 'Like Gunshots'

2022年2月7日(月)15時53分
ダニエル・ビャレアル

凍った木に近づくのは危険なのだという(2009年アーカンソー州の動画からのキャプチャ画面)  basicbrewing/YouTube

<昨年に引き続いて、今年もテキサス州に大寒波が襲来。樹液が凍って樹木が爆発し、その音が銃声のように鳴り響いている>

寒冷前線が到来したテキサス州北部では気温が低下し、凍った樹木が「爆発」している。一晩中続くその音を、住民は「銃声」に例えた。

気温がマイナス10度にまで下がった晩、ダラス都市圏の北にある町プリンストンに住むローレン・レーバーは、夜通し響く「大きな爆発音」を聞いていた、と地元テレビ局に語った。「音は一晩中聞こえていた。銃声のような音だった」

気温が低下すると木の樹液が凍りつき、膨張するために樹皮が裂ける。枝と幹の接合部で木が裂けることもある。ひどいときには、幹に大きな裂け目が生じることもあると、オハイオ州デイトンにある樹木の手入れ専門会社アーボー・エクスパートは言う。樹木の枝に氷が付着して重みのために落下することもある。

レーバーの家では、木の枝が庭に落下してきた。また、別の木が隣人のトラックの上に倒れ、氷結した数本の枝が電線の上に圧し掛かった。

暖房はプロパンガスだけ

納屋も屋根に張った氷の重みで崩れ、全壊した。地元の変電所が火事になって停電したため、暖房も使えなくなった。薪も凍り付いていたので、レーバーの家で暖を取ることができるものは、プロパンガスのヒーターだけになった。SUVはヒーターと、携帯電話の電源として使うことができた。

この冬の嵐で、3日までに約4万人のテキサス州民が停電に見舞われた。午後にはテキサス州のグレッグ・アボット知事は、17の郡に災害宣言を出した。

テキサス州の電力網を管理するテキサス電力信頼性評議会(ERCOT)のブラッド・ジョーンズ臨時会長兼CEOは、2021年のケースとは違って、嵐の間も電力網が故障することはないと州民に請け合った。

2021年2月の猛吹雪では、送電網の故障により450万世帯が数日間にわたり停電した。この停電により、テキサス州民240人以上が死亡した。

「今度の送電網は過去にないほど信頼性が高い」と、ジョーンズは2月1日に語った。「送電網の備えは万全で、その点は安心していい。この嵐への準備はできている。大丈夫だ」

さらに昨年は、厳しい寒さのため一部の住宅で水道管が破裂し、数日間断水が続いた地域もあった。道路も凍結していたため、修理に駆け付けるのも困難だったたからだ。

今年は大規模な停電こそ免れたが、何もかもが凍りついて交通は大混乱、レーバーの家のような局地的な停電も相次いだ。「これは氷の襲撃だ」と、アボットは言った。「ここ何十年も、テキサスは経験しなかったことだ」

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請、20万8000件と横ばい 4月

ビジネス

米貿易赤字、3月は0.1%減の694億ドル 輸出入

ワールド

ウクライナ戦争すぐに終結の公算小さい=米国家情報長

ワールド

ロシア、北朝鮮に石油精製品を輸出 制裁違反の規模か
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 10

    「みっともない!」 中東を訪問したプーチンとドイツ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中