[最新!常識検定] 日本のインターネット利用時間、世界で何位でしょう?
日本はインターネット先進国?
日本のインターネット利用について、先進国の中では中くらいかそれ以上と思っている人は多いだろう。「インターネットの利用」が利用時間を指すのであれば、 世界でも最低だというのはクイズの通りである。さらに世界をリードするようなサービスがないことは、日頃使っているSNSやクラウドサービスのほとんど が日本のものでないことからすぐわかる。日本製のサービスで国内で普及しているのは、ヤフーとLINE、楽天市場くらいだろう。
利用の内容だと、たとえば『DIGITAL 2021』(2021年1月、We Are Social)の人口当たりのインターネット利用者率では世界12位と上位だが、電子商取引の利用では29位で世界平均を大きく下回っている。ウェブ統計に関するサイトAlexaでもっともアクセスされるwebの上位20位には日本のものはなく、ストリーミングで動画を見ている率は世界最低2位で、
人口に対するSNS利用者数も29位と下位だ。
日本がかつて技術と経済で世界をリードする存在だったことは確かだが、我々日本人の中ではその頃の意識がまだ更新されていない。日々ニュースを見ていれば、斬新だったり、世界を席巻するような日本のネットサービスがほとんど出てこないことはすぐにわかる。海外で普及したものが日本に入ってくることが多いということは、その利用は海外よりも遅れることになる。海外以上に急速に普及しなければ、日本での利用が海外の水準に追いつくことはない。日本は世界的に見て、ネットサービスの開発も利用もあまり進んでいない国なのである。
『最新! 世界の常識検定』(集英社文庫)
●一田和樹
経営コンサルタント会社社長、IT企業の常務取締役などを歴任後、2006年に退任。09年1月より小説の執筆を始める。10年、長編サイバーセキュリティミステリ「檻の中の少女」で島田庄司選 第3回ばらのみち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、デビュー。著書に『原発サイバートラップ』『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』など。当ウェブでコラム「デジタル権威主義とネット世論操作」連載中。