核合意問題めぐる米・イラン交渉、始まっても見えないゴール
JCPOAに違反してイランが取った措置のうち、核合意で定められた濃縮度3.67%の上限を超えたウラン濃縮や、濃縮度の低いウランの備蓄などは撤回できるかもしれないが、元に戻せないものもありそうだ。例えば、イランがウランを核兵器級の濃縮度90%にまで濃縮するのに役立つ高性能遠心分離機の研究開発から集めた専門知識などがそうだ。
ブルッキングス研究所のロバート・アインホーン氏は「彼らがいったん獲得した知識をどのように失わせることができるだろうか」と述べた。
今年6月にイランの大統領選を控え、同国の当局者はバイデン政権から何らかの案が提示された場合に、どのように応じるかで微妙な選択を迫られる。大統領選の結果は、経済的苦境への不満が広がる中で、政権への信任投票になりそうだ。
イランは米国による制裁と新型コロナウイルスの大流行で経済が悪化しており、政権幹部には米国と交渉する以外の選択肢はほとんど残されていない。最終的な決定は、最高指導者ハメネイ師の判断に委ねられる。
しかし、両国が交渉のテーブルに戻れるかどうかさえ、依然として不透明だ。
イランは国際原子力機関(IAEA)の抜き打ち査察の受け入れを23日から停止するなど、核合意を順守しない姿勢をさらに強めている。
専門家は、こうしたイランの姿勢は必ずしも交渉の可能性をなくすものではないが、交渉を一段と難しくすると見ている。フランスの外交筋は「何もかも予断を許さない状況にあり、事態は向こう数日でさらに危うくなる恐れがある」と指摘。「外交関係を早急に復活させることが重要だ」と述べた。
(Arshad Mohammed記者、Humeyra Pamuk記者)
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