核合意問題めぐる米・イラン交渉、始まっても見えないゴール
イランが核兵器を持たないようにするため、米国とイランの外交トップが2008年の夏に初めて会談し、その後に双方が15年のイラン核合意に調印するまで、7年の期間を要した。写真あ2015年7月、ウィーンで行われたイランの核を巡る交渉会場に置かれたイランと米国の国旗(2021年 ロイター/Carlos Barria)
イランが核兵器を持たないようにするため、米国とイランの外交トップが2008年の夏に初めて会談し、その後に双方が15年のイラン核合意に調印するまで、7年の期間を要した。
トランプ前米大統領が離脱を決めたイラン核合意に米国が復帰できる条件で、両国が合意できるかどうかがはっきりするまで、これほどに長い期間を要するとは誰も予想していない。だが、欧米の高官は、実際に交渉が始まっても道のりは長く、険しいと話している。
バイデン米政権は18日、イランの高官と会談して欧米など6カ国とイランが合意した包括的共同行動計画(JCPOA)へ復帰する道筋を探るため、イラン特使のロバート・マレー氏を派遣する用意があると表明した。
イラン政府の発するシグナルは当初、一貫していなかったが、ザリフ外相が21日に「米国が核合意に参加するなら、まず対イラン制裁を解除しなければならない」と述べ、強硬姿勢を示した。
核合意の最も重要な点は、欧米側が制裁を解除する見返りに、イランが核兵器開発につながるウラン濃縮を制限することにあった。イランは長い間、核兵器開発を否定してきた。
契約条件が110ページの本文と付属文書に明記された核合意をどのように復活させるか決めるのは、理論的には難しくない。
だが、実際には2つの理由で交渉は難航しそうだ。その1つはトランプ前大統領が18年5月に核合意から離脱後に科した多数の対イラン制裁。もう1つは、その1年余り後にイランが報復として合意に違反して取った措置にある。
これまでのところ両国とも公式には、再合意に向けてどちらが先に動くかという問題に重点を置いており、いずれも相手側が先だと主張している。
米高官はロイターに、順序の問題は巧妙な策により解決可能で「最も難しい問題ではない」と指摘。それよりも米国のどの制裁が解除されるか、イランが取った措置が撤回できるかが問題だ、との見方を示した。