最新記事

韓国社会

韓国、BLACKPINKリサも経験「本物の男」 軍隊リアリティ、パクリ企画もヒットするも炎上し公開中止に

2020年11月9日(月)20時30分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

パクリ企画にかかわらずタレントまで起用

『偽物の男』はユーチューブコンテンツとして配信された。チャンネルの運営は、エクササイズ系ユーチューブチャンネル「フィジカルギャラリー」と、戦術研究/開発/訓練を行う企業MUSAT Inc.が行っている。MUSATとは、Multi UDT/SEAT Assault Tacticsの略であり、動画内ではアメリカ海軍の戦術方式の中でも、体力的、精神的にさらに厳しいレベルの訓練を体験する内容だ。

『偽物の男』は、今年7月9日からシーズン1がスタート。配信直後からネットを中心に話題となり、1話目はアップロードするや否や200万回再生を記録している。出演者は、ラッパー1人とユーチューバーなどの配信系有名人5人、計6人である。

シーズン1が最終回を迎えると、すぐにシーズン2の製作が開始され、10月1日からその1話目が配信開始された。シーズン2では出演者も全14名に増え、ユーチューバーたちに加え、元サッカー選手であるキム・ビョンジ、フランス系の俳優ジュリアン・カン、スピードスケート・ショートトラック選手クァク・ユンギなど前回よりも知名度の高い出演陣がそろった。

さらに、視聴者の関心を集めたのが、MUSAT Inc.に所属する訓練教官たちだ。動画内では、アメリカ軍経験者やボディーガード経験者であるマッチョでイケメンな教官たちが、顔出しで訓練の解説をするインタビューシーンも多く、訓練生たちと同様に教官たちの人気も上がっていった。

出演者の過去の悪行をネット民が晒す

このように、ユーチューブチャンネルとして大成功したかのように見えた『偽物の男』だったが、一体なぜ公開中止に追い込まれたのだろうか。

もともとトレーニングを積んだ軍人が受ける訓練であるため、その過激さに批判が集まっていた。特に精神的訓練ともいえる水攻めでは、水恐怖症の訓練生を何度も波が打ち寄せる浜辺に寝かせ、体を震わせ嘔吐しながらも訓練を続けさせる姿には一部やりすぎの声も上がっていた。しかし、多くの視聴者は苦しみながらも耐え抜き、一歩一歩成長する訓練生を応援しながら配信を楽しんでいた。

配信停止となった理由は、次々と出演者の問題が明らかになったからだ。特に教官たちの私生活や偽証を、ネット民たちが続々と暴露しだした。

教官の中でも、甘いマスクとカリスマ性で人気のあったイ・グン氏については、
●軍隊で部下に200万ウォン借りてそのまま返していない容疑
●アメリカ市民権保持者と思われながら実は韓国人である
●米軍と国連軍で勤務したと言っていたがウソ
●路上で女性にセクハラ容疑
●他の教官と一緒に不法な風俗店へ出入りしていた
といった疑惑が噂されるようになった(後日、本人が韓国の媒体のインタビューでこれらの噂について反論している)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国4月鉱工業生産、予想以上に加速 小売売上高は減

ワールド

訂正-ポーランドのトゥスク首相脅迫か、Xに投稿 当

ビジネス

午前の日経平均は反落、前日の反動や米株安で

ビジネス

中国新築住宅価格、4月は前月比-0.6% 9年超ぶ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇跡とは程遠い偉業

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 6

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃の…

  • 7

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 8

    半分しか当たらない北朝鮮ミサイル、ロシアに供与と…

  • 9

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 10

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中