最新記事

香港

【香港人の今5】「香港人には3種類しかいない。順民、暴民と移民だ」18歳女子大学生

RISING LIKE A PHOENIX

2020年11月27日(金)17時30分
ビオラ・カン(文・写真)、チャン・ロンヘイ(写真)、雨宮透貴(写真)

magHK20201127-5-3B.jpg

在日香港人組織「Stand with HK at JPN」メンバー ウィリアム・リー(27) PHOTOGRAPH BY VIOLA KAM

在日香港人組織「Stand with HK at JPN」メンバー ウィリアム・リー(27)

2019年6月以降、日本の街頭にも香港の抗議活動を支援する香港人がいた。翻る「光復香港 時代革命」の旗の下、ウィリアムは素顔のままで取材を受けた。「香港でできないことを海外でやる。黙れと中国共産党政府が望むなら、より声を挙げていきたい」

サラリーマンである彼の会社で政治議論は制限されてないが、日本人同僚のほとんどは政治に興味がない。何度も日本のテレビ局に取材されたのに、会社の友人も彼のことに気付かない。

日本の現状には、民主化運動が始まる前の香港の面影がある、と彼は思う。「社会が穏やかで、みんなが幸せな生活を送り、現状に満足している。政治参加の動機がなく、特に若者の投票率が低い」

日本語で香港の状況を説明する周庭(アグネス・チョウ)が話題となったことで、日本人の香港への関心は高まった。在日香港人組織はこのチャンスを利用し、香港の最新状況を日本人へ解説しつつ、日本人と香港人が意見交換するイベントも開いた。

国家安全維持法施行後も自己規制せず、いつもより10倍以上多くの旗を掲げて渋谷でデモをした。ただ、この法律は香港にいる者だけでなく、海外にいる香港人や外国人にも適用される。「チームのみんなはもう一生香港に戻れない覚悟ができている」

帰れないのなら、異郷の日本であらゆる方法を試すしかない。在日香港人組織「Dawn of Hong Kong」と連携し、人権というテーマを掲げてめったに国際問題に声を上げない日本の国会を説得。香港国家安全維持法に反対する署名に超党派議員124人が賛同した。

「次の段階ではマグニツキー法(人権制裁法)と香港難民救済法案の日本版の成立を促す。ウイグルや内モンゴル、台湾など中国政府が抑圧している民族と声を挙げ続けたい」

過去1年間、香港のために国際社会で戦い、実際の行動で香港の希望を証明してきた。「香港は僕らの家。見捨てるなんてできない」

<2020年11月24日号掲載(盈とウィリアム・リーはウェブサイトのみ掲載)>

202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 

ビジネス

米地銀リパブリック・ファーストが公的管理下に、同業

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、22年2月以来の低水準
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ」「ゲーム」「へのへのもへじ」

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    走行中なのに運転手を殴打、バスは建物に衝突...衝撃…

  • 7

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 8

    ロシア黒海艦隊「最古の艦艇」がウクライナ軍による…

  • 9

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 9

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中