最新記事

感染症vs国家

感染者数・死者数を抑えた国、失敗した国 14カ国のコロナ対策まとめ

2020年9月30日(水)19時40分
ニューズウィーク日本版編集部

強固な保健医療システムで死者数を抑え、手厚い経済支援で国民の不安軽減に成功したドイツ FABRIZIO BENSCH-REUTERS

<第一波で各国が取ったコロナ対策は、お国柄を反映した「社会的実験」でもあった。ITの先進度や鎖国の徹底ぶり、プライバシーとデータ活用のどちらを優先するかなど、鍵を握った対策を国別に分析すると──。本誌「感染症vs国家」特集より>

中国

20201006issue_cover200.jpg・ 初期の情報隠蔽や初動の誤りで感染が国内全土、さらには世界に拡大
・ 強制的なロックダウン(都市封鎖)で感染流行を短期に収束
・ 軽症感染者専用の施設「方舟病院」を造り、効率的に医療崩壊と家庭内感染を防ぐ
・ ビッグデータで人々の行動履歴・接触履歴を掌握、遠隔医療で院内感染を防ぐ

韓国

・ MERS(中東呼吸器症候群)、SARS(重症急性呼吸器症候群)など過去の教訓を生かす
・ 検査キットの迅速な開発と普及、 ドライブスルー方式など検査体制の拡充
・ プライバシーよりも防疫優先。情報公開とデータ活用で接触者・追跡調査に成功
・ 無症状者・軽症者用の充実した施設や、自宅隔離セットの無料支給で細やかなフォロー

台湾

・ 政治と専門知識をつなぐ 対策、省庁横断での指揮命令系統の強化
・ 感染者第1号発生前から対策に着手。発生後は直ちに中国本土からの入国禁止
・ 唐鳳(オードリー・タン)デジタル担当大臣主導のマスク供給システム、ITを駆使した感染経路把握

日本

・ クラスター対策、「3密」対応が奏功
・ マスク、手洗い、行動様式など日常的な感染予防の徹底
・ PCR検査体制の拡充が課題

ニュージーランド

・ 国内発生前に中国からのフライト禁止。その後、入国禁止対象国を拡大して鎖国状態に
・ 世界で最も厳しいロックダウン。ほぼ全ての企業活動を中止
・ 丁寧で明確な情報発信を続けたアーダーン首相のコミュニケーション能力とリーダーシップ

イタリア

・ 流行初期に気付けず知らぬ間に感染拡大
・ 濃厚な接触を好む文化、束縛を嫌う気質
・ 医療予算不足、院内感染と医療従事者感染増加で医療崩壊

スペイン

・ イタリアの感染爆発を知りながら対応せず、初動に遅れ
・ 初期に政府も市民も新型コロナを軽視
・ 医療従事者の大量感染

イギリス

・ 公衆衛生のトップ国家としてエビデンス重視で当初は極端な規制を行わず、初動で遅れ
・ 集団免疫戦略を提唱するが批判を受け方針転換
・ 検査体制に不備、高齢者施設で感染拡大

ドイツ

・ 検査体制強化で早期発見・早期隔離
・ 病床数・医師数などがもともと多い強固な保健医療システムで、死者数を最小限に抑える
・ ロックダウン後の迅速かつ手厚い経済支援で国民の不安を軽減

スウェーデン

・ 外出・移動・営業制限や休校を行わない独自路線を貫く
・ エビデンスに従った政策、情報の透明性と丁寧な現状報告で国民は支持
・ 北欧諸国で突出した感染者・死者数、死者の9割が高齢者

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン氏「6歳児と戦っている」、大統領選巡りトラ

ワールド

焦点:認知症薬レカネマブ、米で普及進まず 医師に「

ワールド

ナワリヌイ氏殺害、プーチン氏は命じず 米当局分析=

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中