最新記事

映画

オスカー像いつかレインボーカラーになる? アカデミー賞が多様性重視へ大改革

2020年9月24日(木)19時42分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

映画人憧れのオスカー像、2024年からは従来にないさまざまな人たちが手にすることになりそうだ。REUTERS/Mario Anzuoni

<社会の価値観が多様化するなか、それを映し出すスクリーンとその晴れの場にも多様性が求められている>

8月24日、ベルリン国際映画祭が2021年2月の映画祭からこれまでの「主演女優賞」「主演男優賞」など、2つの性別で分けられていた賞を「主演俳優賞」などで統一することを発表した。女優・男優賞以外の賞は性別で分けているわけではなく、さらに世界の流れは、ジェンダーの多様性を認めるという方向に向いている。

また、英語圏でも男女差別をなくそうと「アクター」「アクトレス」と分けずに統一して「アクター」にしようという動きもある。こうした流れを考えれば今回のベルリン映画祭の決定も当然と言えるだろう。今後映画界の多様性への動きはこれから活発になりそうだ。

アカデミー賞、2024年から受賞資格に多様性が必須に

ベルリンに負けじと、9月8日には米国アカデミー賞の選考・授与を行っている映画芸術科学アカデミーも、公式サイトを通じて多様性を重視した受賞資格改正案「ACADEMY ESTABLISHES REPRESENTATION AND INCLUSION STANDARDS FOR OSCARS® ELIGIBILITY」を発表した。こちらは4年後の2024年から優秀作品賞に適用されるという。

米国アカデミー賞は、通常ベルリン同様毎年2月に授賞式が行われている。それなのになぜベルリンのように来年からすぐできないのか? それは今回の受賞資格改正が作品内容やキャスト問題だけではなく、制作過程にも大きくかかわっているため、その基準を満たす作品がそろうように4年間の猶予が与えられたようだ。

優秀作品賞ノミネート資格の改正内容は、大きく分けて4つの要素から構成されている。

A,「俳優・劇中の描写・映画のテーマについて」
B,「監督・作家・撮影監督等スタッフについて」
C,「インターンシップなど映画産業へのチャンスが開かれているかについて」
D,「マーケティング・広報について」

これら4つの中から2つ以上の条件を満たしていなければならない。ウェブサイトには各要素ごとに詳しく規定がされているのだが、発表後にまず注目を浴びたのは、映画そのものの内容だけでなく製作過程やスタッフにも多様性が求められるようになった点だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「豪華装備」競う中国EVメーカー、西側と

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 7

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 8

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 9

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中