最新記事

韓国社会

韓国、極限の修行強要する教会 奴隷となった信者が見たものは

2020年6月11日(木)12時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

今、韓国を騒然とさせている光と真理教会のキム・ミョンジン牧師 MBC PD수첩 / YouTube

<街を歩けばあちこちで十字架が見える韓国。だがなかにはあるまじき行為を強要する教会も──>

今年2月、韓国・大邱市から発生した新型コロナウイルスの集団感染は、その原因となったクラスターとして、宗教団体「新天地イエス教会」の名を全国に知らしめた。この教団の布教活動によって新型コロナも一緒に広めていたという実態が明るみになると、教団に対して多くの非難の声が集まったのは記憶に新しい。

そして、その3カ月後、またしても宗教がらみの衝撃ニュースが韓国を駆け巡った。今度は、「光と真理教会」という宗教団体の行き過ぎた信仰訓練が波紋を呼んでいる。

4月28日、プロテスタント教会系のニュースサイト「平和の木(평화나무)」は、光と真理教会の元信者である通報者の発言と、教会の内部資料を元に、この教会内でどのようなことが行われていたか、その悲惨な実態をスクープした。

脱退信者が教会を告発した理由とは......

「光と真理教会」は、信仰心を高めるため、さまざまなプログラムを用意しているが、そのなかには「リーダーシップ訓練コース:LTC, Leadership Training Course」と呼ばれる常識では考えられない訓練が日常的に行われているという。

特に、韓国で大きく報道され国民を驚愕させたのが「自分の糞便を食べる」という内容だった。その他にも「生ごみの中に入る」「数人で共同墓地に行きお互いを鞭打ちする」「ヤンスリからソウルまで(約35キロ)、時間内に歩いて帰ってくる」「寝ないでいつまで起きていられるかを競う」など、拷問かと見間違えるような内容が暴露された。

ほかにも梨泰院に多く点在するトランスジェンダーのお店で、「いかに異常なことか説教を説いてくる」などもあり、多様性を認めない人権侵害の面からも批判を浴びている。

記事が出た1週間後の5月5日には、脱退信者とスクープを掲載した「平和の木」が教会を告発する記者会見を開き、さらに多くの注目が集まるようになった。

また5月26日には、地上波局MBCの看板番組である報道ドキュメンタリー『PD手帳』が、「大便を食べさせる教会、奴隷になった信者たち」という衝撃のタイトルで特集番組を放送した。番組内では数名の元信者が内部情報や訓練について語っているが、話題となった人糞を口にした元信者の女性も登場し、被害の内容を明かした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「豪華装備」競う中国EVメーカー、西側と

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 7

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 8

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中